二人の王女(4)
「目指すものが同じということは、どちらかが手に入れられないということだ」
マルグリットは、手に持っていた剣を直して云った。
「先に出発するしかない…しかし、気付かれるのも時間の問題だ」
「先に叩いてしまうか?」
「いや、それも危険だ。極力気付かれないよう、馬を降りて森に入ろう」
その言葉に、アークとシェハは強く頷き、馬の方へと向かった。
「あすか、くれぐれも静かにな」
あすかは大きく頷くと、マルグリットの後ろについた。
馬を引き、一向は静かに森に向かって歩き始めた。森の一歩手前まで来たときに振り返ると、うっすらと反対側の崖に明かりが灯っているのが見えた。おそらく、サガエル国の人たちが火を焚いたのだろう。彼らがこちらに気付いている様子はない。それを横目に、森に歩を進めた。