Alice in strangeland.
ThirdDay
今日も今日とて男は俺から離れない。
朝から昨日と同じような行動を繰り返し、学校もなんとか放課後までこぎつけた。
昨日から授業中でもお構いなしにウロチョロと俺の周りを動き回るコイツの行動は、俺の安眠を妨害するには十分で。
かといって真面目に授業を受けようにも、やはり視界に入ってくる奴が気になって集中できない。
そんな状況に、俺は正直辟易していた。
この3日で溜まりに溜まったストレスは確実に俺の中に蓄積されている。
寄り道して帰ろうという友人たちの誘いに乗る気にもなれず、校門を出てのろのろと徒歩で帰路に着く。
2日前までチャリ通であったが、生憎俺の愛車はカギをぶっ壊されどこぞの馬の骨に盗まれてしまった。
コイツが来てから、本当に碌なことがない。
イライラがピークに達したのは、丁度家と学校との中間にあるビルの工事現場まで来た時だった。
「何苛立ってんだよ、アリス。」
幻覚だと自分に言い聞かせて、今までは必要最低限しかコイツに対して口を開かなかったが、限界だった。
今まで蓄積されてきたイライラが爆発した。
「うるせえよ!誰のせいだと思ってんだクソ野郎!」
「うおっ、キレた。つーか口悪いな、お前」
「そりゃキレるわ!大体アリスってなんだよ!俺には有瀬由斗(ありせ ゆうと)っつー名前があんだよ!つーかいつまで付きまとうつもりだよ!」
幻覚VS俺。
ハタから見れば、変な高校生が何もいない空間に一人で怒鳴り散らしてる、異様な光景だろう。
それでも俺の口は止まらなかった。
「それでもお前はアリスさ。それに、こっちで一緒にいるのは今日で最後だ」
「はあ!?」
どういう意味だ、感情の高ぶるままに問おうとしたがそれよりも先に男が続ける。
「だって、
今からお前は俺とアッチに戻るんだから。」
男がそう口にしたのを耳が捉えた次の瞬間、俺は何かがガラガラと崩れる音を聞き、全身に衝撃を受けて意識を暗転させた。
「俺はお前を迎えに来たんだ。約束したろ?もう一度あの国に招いてやるって。」
男が、すぐ後に意味深な言葉を呟いたことも知らず。
後に残るは、鉄パイプの下敷きになった彼の抜け殻だけ。
(2つに別れた少年の。中身はウサギが、殻はヒトが持ってった。)
作品名:Alice in strangeland. 作家名:ripo