no title
いつからここに座っているのだろう。
ある老人は待っていた。
家の前の変わることのない町並みを見つめながら。
同じように、彼の年老いた犬は、老人がたまに語る昔話に耳を傾け、傍に寄り添い続けていた。
足早に夏は去り、秋風が吹き始めた頃、
少年はいつものように歩いていた。
その足を止めることなく。
そして同じ時、老人も古くなった椅子に腰を掛け、
いつもと同じ、優しい眼差しで何かを待っていた。
いつもと変わらぬ町並み。
だが老人は、その視界の隅に何かいつもとは違うものを見つけた。
「花か・・・・?」
歳を重ねた老人の声は、そう呟いた。