ファーストキス
僕は化け物。
ただの化け物じゃない。
人に憧れる化け物。
異性と手を繋ぎ、色んな街へ出かけたり。
買い物したり、ゲームしたり、遊園地に行ったり……
そんなありきたりな世界にあこがれる化け物。
叶ったことはない。
叶うことは無い。
少し切ない気持ち。
君には、彼氏が居る。
素敵な君だから、仕方がないこと。
でも、僕には関係なかった。
僕は、化け物。
人にはなれないし人には慣れない。
僕は、小さく項垂れる。
小さくなってうずくまる。
誰かが、僕の頭を突く。
君だった。
心の中ではなく、現実の世界。
「行こう」
彼女は、そう言って僕の手を引っ張った。
憧れていた現実。
望んでいた世界。
僕は、顔を真っ赤にして歩いた。