ファーストキス
僕は、歩くのが遅い。
だけど、君は、僕の歩幅に合わせて歩いてくれる。
僕は、食べるのが遅い。
だけど、君は、僕に合わせて食べてくれる。
僕は、喋るのに時間がかかる。
だけど、君は、僕の話を一生懸命聞いてくれる。
好きというきもちが強くなる。
ぎゅっとしたいきもちが強くなる。
だけど、僕の心がささやく。
「お前は、化け物だ……」
彼女のことを思う度に、その言葉が耳に残る。
「お前は、化け物で人間じゃないから、人を好きになったらいけない」
小さい時に言われた言葉。
今までずっと封印していたことばが、僕の心の中で繰り返す。
辛い、苦しい。
助けて……
助けを求めたけど、誰も助けてはくれない。
だから、君と距離を置くことにした。
嫌われるなら、早い方が良い。