小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

舞台裏の仲間たち  6~7

INDEX|6ページ/6ページ|

前のページ
 


 言うなりドンとドアを開け、
上着の裾を翻して、堤防の急斜面を駆け下りようと身構えました。
これはもう、止める他はありません。
背後から、今度はしっかりと羽がい絞めにしてしまいました。

 
 「ねぇ、
 また背中からなのぉ・・・
 たまには前から、抱きしめられてみたいなぁ~。
 3昼夜も男と女が一緒だったというのに、
 いまだに、全然色っぽい展開にならないんだもの、私たち。
 まァ、ぁ
 ・・・それも全部私の責任だけどさぁ、
 孕(はら)んだ女じゃ、どうにもなんない話だよね。
 ごめんね、わたしが、我儘(わがまま)過ぎる女で・・・」

 くるりを向きを変えた茜が、
いきなり私の胸の中に、顔をうずめてしまいました。



 「明日からまた、
 看護の仕事がはじまるわ。
 暇があるから、悪いことばかりを考えてしまうのよ。
 クタクタになるまで働いて、何んにも考えずに
 グッタリとして、
 疲れ果てて眠ってしまいたい。
 なんて自堕落な人生を送っているんだろうねぇ、あたしったら。
 自業自得は自分でも解っているけど、
 どうにも悲しくって、
 やりきれないな。」


 「わかったよ、呑みに行こう。」


 「ううん・・・
 もう少し泣いてからでいい。
 こんなはずじゃなかったのに、
 こんなつもりでも、なかったのになぁ。
 何やってんだろう、茜は。」


 夕闇が、時間と共に降るようにおりてくる中で、
温められた茜のシャネルのNo5が、
また、かすかに、胸元から香り始めました。