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最後の魔法使い 第七章 『覚悟』

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「逃げられると思ったら大間違いだぞ!」
 将軍は間髪をいれずに、アレンたちめがけて次々と炎を放った。そのどれもがアレンとすれすれのところに当たった。反撃しようと、一瞬足をとめた瞬間、将軍の投げた炎の玉の一つがマントに命中した。アレンはあわててそれを脱ぎ捨てた。アレンの火の魔法だけでは、将軍にかなわないだろう―ロウアーの魔法も、何か使うしかない。できるだけ短い呪文で、コントロールが利くもの…。
 アレンは植物が急成長する、よく使われる現代魔法を思い出した。それと火の魔法を使って、将軍の行く手を少しでも阻めればいい。アレンは心の中で呪文を唱えた。得意な魔法だったら、わざわざ声に出さなくても、心の中で呪文を唱えられるのだ。

「ハッ!!!」
 
 アレンは指先から出した炎を、魔法の力で生い茂った枝や葉っぱに燃え移らせた。森を焼くのは良心が痛んだが、背に腹はかえられない。炎の壁が出来上がったところで、将軍が「顔は覚えたからな…アレン・シェドリー!」と、慣れていない名前でアレンを呼んだ。アレンはその場をできるだけ早く立ち去った。
 きっとすぐに将軍は追いかけてくるだろう―おそらくドラゴンを使って。だからできるだけ早く、遠くへ行くしかない。ジュダさんとディディーを安全なところに行かせてから、自分は『魔法使いの書』を探しに行くんだ。そして…。
 アレンはただひたすら前だけを見て走り続けた。