Sunlight-あたしと彼女の小生意気奮闘記-(2)
おそらく、この気持ちだって届かないだろう。最下層にいるものの声はいつだってそうだ。何も世の中、そうできている。
未知流の罵詈雑言(ばりぞうごん)に、ネオは何も言わずに顔を俯かせままだ。本当にフリーズしている。
いや、これもネタばらしをするための演技なのかもしれない。自分が思っている『答え』を嗤いながら答える前準備として。
真実を言われる前に去った方がよさそうだな。言われたらきっと、自分の心は崩壊してしまう。うつ病になってしまいかねない。
「……これ以上、あたしに関わるのはやめてくれ」
「……」
自分をシカトするネオを後に、未知流は駅舎の方へ方向転換。カバンが陰口を言うヤツらに奪われなければいいが。
ケンカに夢中になって、ホームの長椅子に置きっぱなしの学生鞄の行方を心配しながら、未知流は一歩前へと踏み出す。
その瞬間、
「言いたいことは、それだけ?」
やっと動いた彼女の小さく震える唇に、未知流は立ち止まる。
「ああ……それだけだ」
作品名:Sunlight-あたしと彼女の小生意気奮闘記-(2) 作家名:永山あゆむ