Sunlight-あたしと彼女の小生意気奮闘記-(2)
未知流はすぐにしゃがむ。
「うわっと!」
チンピラの体勢が崩れる。
そこを見逃さずに、
「隙だらけなんだよ!」
勢いよく立ち上がって、男の顎に強烈なアッパーカット!
「ぐはあぁぁっ!」
弧を描くように宙に浮き、バタッと倒れる。
「……ふう」
未知流は一息つき、額の汗を拭う。
彼女の周囲には、方位磁石を表しているかのように、チンピラたちが苦悶の表情を浮かべ、のたうち回り、気絶しているものが西側に一名。
「……」
彼女のあまりの強さに、ヤンキーは口を大きく開いて、身体をワナワナと震わせて驚愕した。それは後ろから見ていたネオも例外ではない。
こんなに強いなんて……思わず両手で口をふさぐ。
そして、歩道橋に佇んでいるギャラリー、もとい、帰宅部の学生たちも未知流がチンピラどもを撃退する度に「おお……」とか「すご……」とか、ボクシングを客席で見ているかのように、どよめきが起こった。まったく、口を動かせるなら足も動かせと、ネオは思う。
作品名:Sunlight-あたしと彼女の小生意気奮闘記-(2) 作家名:永山あゆむ