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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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無幻真天楼第二部・第三回・弐】坂田さん家のみつるくん

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机の上に置きっぱなしのメガネ
坂田がぼーっと窓の外を眺める
退院してから三日目の土曜日の夕方
家中に響く笑い声に坂田がため息をついた

トントン

「若」
部屋の戸をノックする音に少し被って聞こえたのは
「柴田?」
「入りますよ」
戸を開けて入ってきたのは柴田
「混ざらないんですか?」
「混ざるも混ざらないも…退院してから毎日あれだとさすがにな;」
「たしかに」
柴田が笑う
坂田が退院してから連日繰り広げられている坂田の退院祝いという名の宴会
退院してから三日ということは三日間ずっと宴会をしているということになる
「お前こそ混ざらないのか?」
「はい」
「…入れよ」
「お邪魔します」
柴田が部屋に入ると戸を閉めた
「…柴田」
「なんですか?」
「お前…さ…その…なんつったっけ…【時】とかいうの終わったら…さ」
「…はい…」
「終わったら…お前…は…やっぱり…いなくなるのか…?向こうに帰るのか…?」
窓の外を見たまま坂田が聞く
柴田からの答えはなく
「…どうなんだよ…」
更に坂田が聞く
「なんとか言えよ!!」
坂田だ怒鳴りながら振り向くとそこには微笑む柴田がいた
「何笑ってんだよッ!!;」
「いや…嬉しいなぁって」
「何がだよッ!!;」
更に坂田が怒鳴る
「聞いてんだろッ!! 答えろ!!」
「俺が帰る場所はここですよ」
「…ここって…」
柴田が坂田に近づいて
「深弦の隣です」
「な…っ…;」
坂田の耳元で柴田が答えた
口をパクパクさせて柴田を見る坂田
にっこり笑う柴田
「おっ…」
坂田が何か怒鳴りかけてそれを止めた
「深弦?」
「…本当だな…」
「え? ぅわっ;」
柴田のネクタイがグイッと引っ張られた
「本当に…」
ネクタイを握る坂田の手に力が入る
「俺は深弦の隣に帰って来ます」
「…ん」
坂田がネクタイを握っていた手を放し小指を立てて柴田にずいっと突きつけた
「指切りしろ」
「指切り…ですか?」
「嘘じゃねぇなら指切りしろ。嘘ついたら針千本…いや針千本飲んで更に青汁飲んでカエンタケ飲んで…」
「深弦…;」
次々に嘘をついた時に飲ませる物をあげていく坂田に柴田が苦笑いをする
「とにかく!! 指切り」
「わかりました」
坂田の小指に柴田が笑って小指を絡めた
「ゆーびきーりげーんまーん」
「相変わらず音痴ですね深弦」
「るせぇ!!; …うーそついたら…」
坂田の音の外れたゆびきりげんまんが響く
「ゆーびきーっ…たッ!!」
勢いよく坂田が腕を降り下ろした
「…切れよ;」
「ははっ」
「切れってのッ!!;」
放れない柴田の指をブンブンふって放そうとする坂田
「はーなーせーッ!!;」
「はははっ」
笑う柴田に顔を真っ赤にして指を放そうとする坂田
「放せってのッ!!;」

スパン!!

坂田が柴田の頭を叩く
「ははっ」
「いい加減にしろッ!!;」
坂田の怒鳴り声が宴会の笑い声に重なって家の中に響いた