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せき あゆみ
せき あゆみ
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お弁当ものがたり

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ホームルームは朝食の場



高校の頃は毎朝5時半に起きて、せっせと作っていました。
ワタクシの通っていた高校は、電車の時間と始業時間があわないため、始業時間の45分も前に学校についてしまいます。
なんといっても田舎のため、電車は1時間に1本しかありません。
では1本遅く行ったらどうかというと、その電車では2分の遅刻となってしまうのです。
なんとも非合理きわまりないことでした。

もちろん、学校側にそれを改善してほしい(始業時間を8時半から)との要求も再三再四しましたが、学校側は「今までの先輩達もそうしてきたから変えない」との一点張り。

余談ながら、ワタクシたちが卒業したら、たちまち時間が変更されたのです。
これには非常に腹が立ったのは言うまでもありませんね。

さて、その45分も余ってしまう時間をどう過ごしたかというと、もちろん、勉強……のはずはありません。
ワタクシのいたクラスは女子が強かったので、朝、登校すると男子はどっかへ行ってしまっていて、教室には女子ばかりが残りました。

朝、ワタクシを含め上りの電車で通学してくる連中は、無駄に早起きしているので、朝ご飯を食べる時間がありません。
だから、その時間に朝ご飯を食べるのです。幸い、男子はどっかいっちゃってますから、女子の天国です。

ワタクシは早起きするついでに、朝とお昼の分のお弁当をつくって登校していました。

昭和40年代も後半のこと。
今はいろいろな食材があって、彩りもきれいに作ることができますが、その頃は彩りよく作ろうとすると至難の業でした。

たとえば、付け合わせに入れる緑の野菜はキャベツが主流で、レタスはやっと一般に認知されたころです。ブロッコリーなんて見かけると「何これ?」と怪しげなものを見たようなそぶりで、そそくさとその場を離れるような時代でした。
赤い野菜などはにんじんくらいで、ミニトマトなどありません。
大きなトマトだと切って入れなくてはならないので、そうすると切り口から水分が出てしまって、べちゃべちゃになってしまいます。

それでも、工夫を凝らして毎日二つのお弁当(おかずもそれぞれ変えて)をもって学校へ行きました。

「あなたのお弁当はいつもカラフルね」

と、クラスメイトに言われましたが、そこには涙ぐましい努力があったのです。

作品名:お弁当ものがたり 作家名:せき あゆみ