涙のわけ / 詩のようなもの
詩論
なんだか知らないが
兎に角 最初の一行が出来あがる
なんだか知らないが
次の行は誰も知らない
もちろん自分も
なんだか知らないが
行と行の間には
深い深い溝がある方がいい
つまり驚愕と無関係が
君と僕みたいに
なんだか知らないが
手術台の上のミシンと蝙蝠傘の邂逅
(ちがうか?)
そうだ確か
吉本隆明さんも言っている
表現すると同時に
内面が出来るのだと
だから僕が君のことを
好きだと詩に書いたら
僕は君のことが大好きなのだ
ということを
君は知らない
君と僕みたいに
作品名:涙のわけ / 詩のようなもの 作家名:池本浩一