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母から私 私から娘へと ~悲しみの連鎖~ (続)

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 ――そう言えばまだ結婚したばかりで、横須賀のアパートに暮らしている時にもそんなことがあった。それは、徹さんが仕事から帰ってきて、お風呂から上がったばかりの私と顔を合わせた時のことだった。
「何か臭いんじゃない?」
 私の顔を見るなり、いきなりそう言った徹さんの言葉に、私は本当に驚いた。
「ええっ? 今、お風呂に入ってきたばかりよ! なんで臭いん?」
 もしやと思い、私は続けて言った。
「シャンプーか何かの匂いかなあ?」
「いや違う。臭いよ」
 一体何がどう臭ったのかは分からなかったが、お風呂から上がったばかりなのにこんなことを言われて、私はかなり凹んだ。そして泣きたくなった。誰一人知る人もいない横須賀へ、私は徹さん唯一人だけを頼りにして来たのに、その徹さんにそんな酷いことを言われるなんて思ってもみなかった。――突然、その時の悲しみが蘇った。
 それからの私は、徹さんを見る目が少し変わったかも知れなかった。しかし生活には何ら変化はなかった。そして結婚して四年目を迎えた年に、私たちは最大の買い物をした。