母から私 私から娘へと ~悲しみの連鎖~ (続)
子供たちはその後、大した病気や怪我もなく元気に育ってくれた。
次男がまだ六ヶ月になる少し前に、菜緒が仲良くしていたお友達のお母さん(小阪さん)からお宅に招待された。なんだか下着の試着会をするということだった。
それまでにも何度か遊びに行ったこともあったので、私は気楽な気持ちで赤ん坊の次男を連れて出掛けた。行ってみると、彼女の家にはすでに二人の先客が来ていて、私は初対面だったので彼女が皆に紹介してくれた。
私たちがコーヒーを頂きながら談笑していると、一人の女性がスーツケースを下げて訪ねて来た。今日のホームパーティーの主役らしいその人は、まず自己紹介をし「大木」と名乗った。
大木さんは私たちに正しい下着の付け方を教えてくれた。そして其々に合いそうなサイズの下着を選んでくれて、私たちはみんなで試着を始めた。
ブラジャーのサイズが変わって胸が大きくなったと喜ぶ人。お腹がペッタンコになって、スカートがゆるゆるで落ちるーと騒ぐ人。楽しい雰囲気の中で試着会は終わった。産後でお腹周りがまだ元通りになっていなかった私は、そういう人にぴったりだというハイウエストガードルを、洗い替えも含めて二枚購入した。
その日は試着と注文だけで会は終了し、私は次男とともに帰宅した。試着している時は、小阪さんが次男の世話をしてくれていたのでとても助かった。
後日、私が注文した品を持って大木さんが訪ねて来てくれた。その時大木さんはその仕事のシステムを詳しく説明してくれて、私にも一緒にやらないかと誘ってくれたが、「次男もまだ小さいので……」と言って一旦はお断りした。すると今度は、試着会を私の家でして欲しいと頼まれた。私は『一応声だけは掛けてみる』と約束し、大木さんは帰って行った。
どちらかというと内気な性格の私は、近所の人たちとは挨拶ぐらいはするものの、特別親しくはしていなかったので、自宅に隣人を招んでのホームパーティーなどとてもじゃないけど無理だと思っていた。しかし一応約束した手前、私は勇気を奮って近所の奥様連中数人に声を掛けてみた。すると意外にも、特別予定のなかった人はみんな来ると言ってくれた。これには声を掛けた私自身の方が驚いた。私は早速大木さんに連絡をして、当日の打ち合わせをした。
作品名:母から私 私から娘へと ~悲しみの連鎖~ (続) 作家名:ゆうか♪