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母から私 私から娘へと ~悲しみの連鎖~ (続)

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 やがて、いくら泣いてもどうしようもないのだと自分でやっと気が付いて、病院の精算を済ませると、辛い気持ちのままで帰宅した。それからも出産予定日が日々刻々と近付いてきても、私は子供たちを預ける手続きができないでいた。しないわけにはいかないと頭では分かっていても、気持ちが認めるのを拒否していた。
 そんな時お義母さんが電話をくれた。田んぼの作業を、お金を出して近所の人にお願いしてくれたらしい。お義母さんにとって忙しい時期は、近所の人にとっても忙しい時期だ。それを無理を言って頼んでくれたお義母さんと、受けてくれた近所の人に、私は心底感謝した。やっと安心して出産できる――そう思った。
 私にとっては四回目のお産だったが、産む度に重くなるので、今回は先生とも相談して帝王切開にしてもらうことにした。当初の予定日を少し早めて、四月二日に手術することが決まった。通常出産なら一週間ほどの入院で済むのだが、帝王切開だと、早くても十日以上の入院になると病院で言われた私は、すぐにそのことをお義母さんに連絡した。
 臨月に入って、もう直ぐ予定日という日。私は長男を連れて、近所の商店街に車で買い物に出掛けた。買い物の途中で何だかとても気分が悪くなってきて、吐き気もしてきた。これはいけないと思い、早々に帰ろうと長男の手を引いて外へ出ようと自動ドアのそばまで行った時、私は突然意識を失ってその場に倒れた。
驚いたのは長男である。私の身体に縋りつき、「おかあさん! おかあさーん!」と半泣き状態になってしまったようだ。異変に気付いたお店の人がすぐに救急車を呼んでくれて、担架に乗せられた私は、そのまますぐ近くの救急病院へ運ばれた。幸いその病院は私がお産を予定している病院だったので、すぐに担当の先生が診察して下さった。
 担架に乗せられた時、一時的に意識を取り戻した私は、徹さんの連絡先を救急隊員の方に教えて、長男を迎えに来てもらうように伝えて欲しいとお願いした。
その時の私の血圧は、上が六十いくつで、下が測れない状態だったらしい。――血圧の急激な低下による気絶――救急隊員の人がそう話していた。