コスモス2
私は手を挙げなかった。みんな、不思議そうに「七不思議だぁ」とかなんとか云って笑っている。
そんな話も、掃除の時間にはあっさりと消えてしまっていた。いつもの、日常風景が戻る。帰ろうと鞄を持って部屋を出ようとしたとき、静香がそっと私に耳打ちした。
「キレイだね、コスモス」
静香は故意的にそう云ったのか、それともたまたまそう云ったのか、私にはわからなかった。でも、そんなことはどうでもよかった。私はなぜか涙が溢れてきて、止まらなくなった。静香が、やさしく「可菜子」と肩を抱いてくれた。周りのみんなは、とても怪訝な顔をしていることだろう。そんなのもかまわず、私は泣き続けた。子どもみたいに、わんわん泣いた。
キレイだな
もう一度、そう云ってよ、
あなたのその言葉、もう一度聴きたいよ。