星を見ながら二人で作る物語
「あのさ、二人で物語り作ろうか」僕は彼女に提案した。
「どんな?」
「恋物語。星の恋物語。交互に続きを作っていくんだ」
「いいわね。あなたからやる?」
「いいよ、じゃ・・・南のケンタウルス王子は、北のカペラが好きだった」僕は言った。
「でも、カペラはベガが好きだった。三角関係ね。。。」
「ケンタウルスはやきもちを焼いて、北斗七星のミザールと付き合った。4角関係だ」
「カペラはミザールに嫉妬した。好きでもないのに」
「それはケンタウルスの作戦だった。カペラは自己主張の強い女だ」
「だけど、ミザールも負けてなかった。色仕掛けでケンタウルスをまいらせた」
「ケンタウルスはミザールと付き合いながらカペラも振り向かせようとしていた」
「カペラはまんまとケンタウルスにだまされた。。。ね~、それって私達みたいじゃない」
「ケンタウルスが僕でカペラが君かい?」
「なんだかそうじゃない?思い出した。あなたには私と付き合う前女がいたのよね」
「えっ、そうだっけ?」僕はしらばっくれた。
「私、なんだか悔しくてあなたのこと夢中になったのよね」
「そうだったの?」
「あれは作戦だったの?」
「どうだったか・・・思い出せない」僕は笑った。
「いや、今ばれた。正直に言って御覧なさい」
「君が勝手に好きになってくれた。。。種はまいたけど。。。」
「ほら。。。やっぱり。。。それであの子は今どこにいるの?」
「知らない。知るはずない。僕は君に夢中だし。。。」
「隠してて、まだ付き合ってたりして。。。」
「それはないない。全員やめた」
「全員?そんなにいたの?」
「星の数ほど」と言って、僕は空を指差した。
彼女は僕の指を捕まえると、口の中に入れた。そして
「でも、今は私だけのもの。。。。わかる。。。」と言った。
「ばれたらしょうがない。。。君しかいない。。。」
彼女は言った。
「実はカペラも、それを計算していた・・・」と。
僕は彼女の背後から、熱いキスを送ってやった。
(完)
作品名:星を見ながら二人で作る物語 作家名:海野ごはん