中年黄昏流星群
中年黄昏流星群
「ねえ 黄昏流星群っ知ってる?」
僕はバーのカウンターで 先ほど知り合ったばかりの隣の女性に聞いた
2時間前に知り合った彼女は 話がよくあった
音楽の話 スキャンダルの話 とりとめない話
何をしてるか どこに住んでるか 結婚してるのか
よくわからない部分があるからこそ 会話が弾む
若い時は意識しすぎて なかなか話しかけられなかったが
中年になると 人恋しいのか すぐ話しかけたくなる
同じカウンターに座れば 同じ仲間じゃないけど
うちとける気になるのは 年老いた厚かましさのせい?
かもしれない。。。。
「えっ 知らない 何それって?」
40代の半ばぐらいだろうか 品のいいワンピースが似合ってた
「コミックの話 コミックとか読みます?」
「いいえ ぜんぜん。。。」
カウンターには彼女と僕のグラスしかもうなかった
午前2時を過ぎると いつもにぎわう店もぐっと客足が少なくなる
僕らが最後のお客となってしまった
マスターはグラスをふき 閉店の準備を始めた
「黄昏っていうのは もう陽が沈み暗くなりかけようとする頃でしょ
ちょうど それを作者は「中年」にみたてたんだな
それから 流星は一瞬だけ煌めくでしょ だから たぶん
最後の恋やときめきを表現してつけたんだと思う 説明はないけどね
恋する中年の人達って言う意味でつけたんじゃないかな そのタイトル」
「へえ~ じゃ私 ぴったり 黄昏流星群だ」
「なんかあるの? 中年のときめき?」
「ううん 願望だけ」
「じゃ おんなじだ僕も願望ありあり」
「みんなそうなんじゃない?友達の主婦も恋をしたいって言ってるし。。」
「主婦が恋したら不倫じゃない?」
「不倫も恋のうちなのよ
それにできないと思うから憧れるとこもあるのよ」
「ふ~ん じゃ 世の中の女性はいつでも恋愛願望ありってわけだ」
「たぶん 当たってると思うわ」
「男も女も夢を見たいんだな
流れ星のように一瞬だけ輝きたいと。。毎日は疲れるからね。。」
「そんなもんね。。。」