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風香の七日間戦争

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二日目 「珍客万来」


「フッフフーンフフフフーン」
「とーちゃんうれしそうだな」
「そうか? フフフフッフフーン」
「あさごはんはなんだ?」
「ベーコンエッグとサラダだ」
「ふーかはつくらない?」
「風香ちゃんは昨日疲れてまだ寝てるから、とーちゃんが作ってる」
「ふーん、じゃあよつばがおこしてくる!」

 そのころ風香はやっと目が覚めたところであった。
しかしまだ頭が働いていない。
(あれ? ここ……どこだっけ)
段々頭がはっきりしてくると、昨日小岩井家へ泊ったことを思い出した。
(そうか、私……)
そして小岩井にキスしたことも思い出す。
両手で顔を触ると頬が熱い。
勢いでキスしたのはいいが、今朝は小岩井にどんな顔をして会えばいいのだろう。
(小岩井さん大人だから大丈夫だよね)

 そのときよつばが風香を起こしに来た。
「ふーかー、ごはんー」
ハッと目覚まし時計を見ると八時である。
(ああ、やっちゃった! 朝食私が作るはずだったのに)
(昨日あれから眠れなくなっちゃったから)
「よつばちゃん! 着替えてすぐ行くから! あとお父さんにごめんなさいって言っといて!」
「わかったー」

 風香は素早く着替え、エプロンを着けながら下に降りていった。
「おはようございます! 今日は寝坊しちゃってごめんなさい!」
「大丈夫だよ。風香ちゃんほどじゃないけど、俺も朝食ぐらいは作れるからね」
「でも自分で言い出したことだし、今度から気をつけます」
「うん。昨日はよく眠れた?」
そう言ってから小岩井は、昨晩の出来事を思い出した。
風香の方は恥ずかしそうに、なにやらごにょごにょ言っている。
(うー、小岩井さんの顔見れないよー)
そんな風香を見ていると、小岩井も照れくさくなってくる。
よつばはその微妙な空気を感じ取ったのか二人に聞いた。
「とーちゃんとふーか、けんかしたか?」
「え゛!? 何でだ!?」
「けんかはよくない。なかよくしろ? な?」
「よくわからんが、わかった。じゃあ飯にしよう」
そして食べながら話をしているうちに食事が終わる。
「それじゃ私洗い物しちゃいますから」
「うん、ありがとう」
風香は台所で食器を洗い始める。
「フフフフーンフー」
「ふーかうれしそうだな」
「そーお? フフフフーンフフフフー」
「とーちゃんもうれしそうだった。なんでだ?」
「それはね、よつばちゃんと一緒にいられるからうれしいの」
「よつばといるとうれしいか! よつばもふーかといるとたのしいぞ」
「ふふ、ありがと」

 洗い物をしていると、玄関のチャイムがなった。
「おはようございまーす。よつばちゃん遊ぼー」
「あっ、えなだ!」
よつばが玄関に走って行き、風香が後を追いかける。
「えなー、どこへいくー?」
「よつばちゃんおはよー。みうらちゃんのところに行こうと思って…… あ、風香お姉ちゃん、ほんとによつばちゃんちに泊ってたんだ」
「おはよう恵那。気をつけて行ってよ」
「いってきまーす」
二人は恵那の友達である早坂みうらの家へ遊びに行った。
恵那のやや茶がかったセミロングの髪が風に揺れる。
「きのうふーかハンバーグカレーつくった。とってもとってもおいしかった」
「へー、すごいね。風香お姉ちゃん、うちではそんなの作ったことないよ」
「でもきょうはねてて、あさごはんとーちゃんがつくった」
「ふーん。別なおうちに泊ったから眠れなかったのかな」
二人は暑さをものともせず歩いていった。

 小岩井家では風香が掃除をしていた。
「暑い。お母さんなんでこんなこと毎日できるんだろ」
掃除が終わると、Tシャツが汗でびしょびしょである。
「これはたまらん。シャワーを借りよう」
二階の小岩井に声をかける。
「小岩井さーん。汗かいちゃったんでシャワー借りていいですかー?」
「いいよー。っていうか断んなくても、うちのもの使っていいからー」
「はーい」
風香は脱衣所で服を脱いだが、洗濯機の中には洗濯物が入っている。
「ああ、掃除してる間に洗濯機回しとけばよかったんだ。でもとりあえずこれどうしよう。……いいや、入れちゃえ」
体にバスタオルを巻き、風香は自分の下着も一緒に洗濯を始めた。
そしてシャワーを浴びる。
「あっ、でも小岩井さんに下着見られるのは恥ずかしいな。部屋干ししようっと」

 風香は浴室を出ると、替えの下着を持ってきていないことに気がついた。
仕方がないので、バスタオル一枚で二階に取りに行くことにした。
「こういうときって小岩井さんとぶつかって、バスタオルがはだけちゃうっていうのがお約束よね」
風香は脱衣所のドアを小さく開け、小岩井がいないことを確認し、二階の自分の部屋へ向かおうとしたが、床が濡れていたせいで足が滑り、転んでしまった。
「きゃっ」
台所で牛乳を飲んでいた小岩井は、風香の悲鳴を聞きつけやってきた。
「風香ちゃん大丈……あっ!」
「大丈夫です。ちょっと転んだだ……け……」
風香はやっと自分の状態に気がついた。
お約束通りバスタオルがはだけ、白く柔らかな肌が露出している。
「きゃー! えっち! 変態!」
「す、すまん!」
小岩井は台所に避難する。
真っ赤になった風香はバスタオルを直し、二階に着替えに行った。
「ああ、小岩井さんに見られちゃったー」
風香は我が身の不幸を呪った。

 風香はやっと落ち着いたので、洗濯物を干した。
「ほんとはお布団も干したいけど、また汗かきそうだから明日ね」
下に降りていくと女性の話し声が聞こえてくる。
声の主は大学生になる風香の姉・あさぎであった。
風香よりもやや背が高く、亜麻色の髪を腰まで伸ばした美女である。
「あれー? お姉ちゃん来てたの?」
「かわいい妹の様子を見に来たのよ」
「あさぎさんがアイス持ってきてくれたよ」
「わーい、食べよーっと」
だが風香は小岩井と目が合うと真っ赤になってしまう。
敏感なあさぎはしばらく二人の様子を観察した。

 そのうち小岩井は仕事の続きをするため、二階に上がって行った。
あさぎが風香に聞く。
「あんたと小岩井さん、様子がおかしいけど何かあったの?」
風香はギクッとしてうつむく。
「まさかあんたたち昨日の晩ついに……」
「ち、違うのお姉ちゃん、そうじゃなくて」
風香は先ほどの一件を話した。
「なんだ。見られただけでそんな大騒ぎして」
「だって…… 恥ずかしいんだもん」
「小岩井さんは悪くないのに、変態扱いされてかわいそうだわ。後で謝っときなさい」
「う、うん」
「でも考えてみれば風香の裸を見れて、小岩井さんはラッキーか」
「お姉ちゃん!」
あさぎは頑張りなさいと言って帰って行った。

 まだ恥ずかしさが残っていたが、風香は二階に上がり小岩井の仕事部屋のドアをノックした。
「小岩井さん、今いいですか?」
「ん? ああ、大丈夫だよ」
「あの、さっきは大騒ぎしてすみませんでした。小岩井さん全然悪くないのに」
「いや、風香ちゃんがシャワー使ってたんだから、俺が気をつけるべきだった。ごめん」
「そんな、謝らないでください」
「うちは若い女性がいないからなかなか気がつかなくてね。申し訳ない」
作品名:風香の七日間戦争 作家名:malta