「セックスアンドザシックスティーズ」 第二十七話
「行っちゃったわね・・・あなた、ありがとう。運転疲れたでしょう?帰って早く寝ましょうか?」
「そうだな、久しぶりに朝からしたから・・・疲れたよ」
「まあ、そんな事仰って・・・ねえ?わたし達って昔のように恋人同士ですよね?」
「うん、典子は付き合い始めた頃のようだよ。俺にとっては初めて好きになった女性だったからな」
「いまも同じ気持ち?私のこと好き?」
「大好きだよ。これからもずっとそうだから」
「嬉しい・・・みんな幸せになれそうだね。映子さんのところはどうなるのか解らないけど、いつかご主人とわたし達のように仲良くなってくれるといいわね」
「それが一番いいと思うよ。恋愛は手の届く距離でしないと苦しくなってくるからな。夫婦って言うのが一番いいんだ」
「ええそうね。一番解っている関係ですものね。子育てが終わって第二の人生を二人だけで睦まじく過ごせることが一番の幸せに感じられるのよね」
「典子とのこれからが俺の本当の人生になるよ」
「あなた・・・本当はね、わたし他の誰かと恋愛しようと思っていたの。あなたが冷たくなってしまったからよ。それに浮気していると思っていたからね。
恵子さんや美紗子さんに意見されて・・・あなたの事考え直すようになって本当に良かった。もし誰かと付き合っていたら、あなたとは離婚になってしまったでしょうからね」
「そうだったのか・・・すまん全部俺が悪かったからだな」
「違うよ!悪いのはわたし、あなたは悪くない・・・謝って済む事じゃないけど、これからは裏切ることはしないから、約束するから・・・許して私のこと」
「典子・・・済んだ事を言い合うのはよそう。これからが2人の大切な時間になるんだから」
「仁志さん、あなたはほんとうに優しい人ね・・・わたしはどうかしてたの・・・」
典子は自分のやろうとしていたことに恥ずかしさと悲しさを覚えた。頬を伝う涙がその気持ちを仁志に伝えていた。
「典子・・・泣くな。今すぐにお前を抱きたい!ホテルへ行こう、すぐ近くにあるから・・・」
「えっ!あなた疲れているのに、ダメよそんなこと」
「いや、そうしたいんだ。俺がいましてやれるのはそのぐらいだから」
「あなた・・・うん」
作品名:「セックスアンドザシックスティーズ」 第二十七話 作家名:てっしゅう