ラブレター
機械音声で桜は話しかけてくる。顔の皮膚も全て剥ぎ取られており、桜の顔は完全にロボットのそれなのに、でも、私はその顔が笑顔に見えて、震えた。
「ワタシノ リョウテハ マシンガン」
嘘。冗談だよね桜。撃たないよね。だって私たち、友達でしょ。クラス1の友達でしょ。撃たないよね?
「ワタシノ リョウテハ マシンガン」
桜は繰り返した。桜がニコッと笑った気がした。私は無数の弾丸を浴びた。
桜
数十発の弾丸を浴びながらゆっくりと立ち上がってくるかおりを見ながら、私は脳内CPUをフルに回転させて検索をかける。信じられない。マシンガンの連射を受けて生きている生物が存在するなんて。あれは一体何?私のハードディスクの中に、アレが何かを記したデータってあったかな?私が検索をかけている間にも、かおりの体はゆっくりと変形していく。背中には漆黒の翼。頭には尖った角。口は裂け、指の爪はこの世の全てを切り裂けそうに長く鋭い。後ろでは尻尾らしきものがゆらゆらと揺れている。いったいアレはなんなのだろう。私は検索を続ける。一件だけそれらしいものが検索結果に表示される。悪魔。なるほど。でも負けないけどね。
その時、教室の扉が開いた。塚田だった。
桜
手紙を盗み見るだけなら冗談の範囲だけど、恋の告白の現場に立ち会うなんて、お邪魔虫もいいところ。そんなことしたら、さすがに友情にヒビが入ることくらい、私にだって分かるよ。塚田君が来るまでには、教室から出て行くつもりだったんだけどな。つい、夢中になっちゃった。てへ。
「ゴメンネ カオリ」
私は一言だけ謝って、急いで教室を出た。邪魔したのはちょっとしたいたずら。本当は、友達の恋が叶うのを私だって願ってる。頑張って、かおり。私は心の中でかおりを応援した。
かおり
「塚田君、あの・・・。文章書くの苦手だけど、頑張って書いたよ。これ、読んで」
私は塚田君に手紙を渡すと、恥ずかしさのあまり教室を逃げるように飛び出していた。ああもうダメ。心臓が飛び出しちゃうよ。神様、どうかうまくいきますように・・・・。
塚田はかおりの姿を見て、失神した。