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CROSS 第5話 『忘れてはならぬ戦い』

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第3章 地獄への行進



「今だ!!! 一気に走れ!!!」

 山口の無線ごしのかけ声のあと、岩影に隠れていた100人足らずの兵士が一斉に突撃を開始した。兵士たちは残っている力を振り絞って、大声を出していた。山口と佐世保も兵士たちに混じって突撃する。



 ……そこから再び落ち着くまで、まさに地獄だった。

 まず、敵の重機関銃などの銃弾で兵士がバタバタと死んでいき、敵の迫撃砲による砲撃で兵士が体をバラバラになりながら死んでいった。まだ生きている兵士もいたが、彼らを助けていられる余裕は、衛生兵にすらほとんど無かった。
 そのほかにも、味方の浮遊式(VTOL)のロボット兵器が敵のロケット弾の直撃を受け、下にいた兵士を巻きこんで墜落したり、銃弾が一部の兵士が背負っていた放射能放射器のタンクに当たって引火し、小さなキノコ雲ができるほどの爆発が起こり、その武器を持っていた兵士はもちろん、周囲にいた兵士たちが火ダルマになりながら死んでいく……。爆発で、腹が裂けて内臓が飛び出していたり、腕や足がもぎとられてしまった兵士もいた。彼らは言葉にならない悲鳴をあげていた。爆発地点のあたりは、放射能で汚染されてしまっているため、誰も近づこうとしなかった……。
 山口と佐世保は、運良く離れた位置にいたため、無傷で済んだが、目の前でどんどん部下が死んでいくのを苦々しく見ていた……。無線を使って統率を取ろうとしたが、回線がパンク状態に陥っており、無線は使えそうになかった……。

 そして、なんとか「正式の」集合地点となっていた町の防壁の真下に、山口たちはたどりつけた。ここは死角になっていたが、みんな身を伏せていた。この集合地点には、山口たちの第33中隊の他に、別の2つの中隊が集まることになっていたが、いたのは山口たちの中隊の兵士ばかりだった。山口は、近くにいた、別の中隊に所属しているガリアをつかまえた。
「おい!!! おまえらの中隊長はどうした?」
「さっき死にました! 今は山口さんが代わりの中隊長です!」
山口はためいきをつく。
「じゃあ、ガリア。おまえの中隊の連中を集めろ!」
「了解です!」
ガリアは、ほふく前進で仲間を集めに行く。時間はかかりそうだが、この状況では仕方がなかった。