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CROSS 第5話 『忘れてはならぬ戦い』

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 その一部始終を、山口たちは呆然と見ているしかなかった。だが、すぐ我にかえり、
「外へ出たらすぐに隠れろ!!! 狙撃兵や重機関銃に注意しろ!!!」
後ろの兵士たちに叫んだ。
 兵士たちが、ポッドから外の戦場へなだれこんでいく。その光景は、まるで濁流のようだった。

   ドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!

 先ほどより長い銃声がしたかと思うと、地面に降り立ったばかりの兵士たちが、次々に肉片やヘルメットの破片をぶちまけながら倒れていく……。山口と佐世保はギリギリのところで、岩陰に隠れることに成功した。
 敵はどうやら、兵士たちが降り立つ地点をうまく狙える絶好の場所に、重機関銃が設置したようだ。
「そのまま降りずに、左右から飛び降りろ!!!」
山口に言われるまでもなく、兵士たちはスロープの左右側から飛び降りており、山口と佐世保がいる岩陰や近くの岩陰などの隠れ場所へと駆けていく。しかし、多くの兵士たちが隠れる前に、銃弾の嵐に倒れていく。どうやら、狙撃兵にも攻撃されているらしい。
 山口たちが乗っていたポッドから、大型ロボット兵器が出てきた。キャタピラー式の多砲塔戦車タイプのが1台とジェット浮遊式の航空兵器(VTOL)が2機だった。しかし、そのロボット兵器は自動行動式であり、山口たちが独自にコントロールすることはできない。ロボット兵器たちは、機関銃の攻撃を受けながらゆっくりと前進していった。
 他のポッドやモビルスーツも次々に着陸し、ポッドの中から兵士たちや兵器が降りてきていた。遠くから眺めたときのそれは、騒然たる規模であった。

 この作戦は大規模なものであった。そもそも、山口少尉たちの大日本帝国連邦がこの世界に侵攻をした理由は、増大するエネルギー消費を補うための資源を確保するためだった。つまり、この世界にある魅力的なエネルギー『魔こう』を手に入れるためだめだった。もし、帝国連邦がエネルギー不足に陥れば、国民の生活を維持することや気軽に戦争をすることが難しくなる。そのため、少しでも早く安定したエネルギーの供給源がなんとしても必要だった。しかし、エネルギー確保を名目に他の世界に侵攻したとなると、異次元中の世界や同盟世界から反感を買う。そこで帝国連邦は、自作自演の邦人虐殺事件を起こし、その報復措置というのが表向きとなっている……。(自作自演だということは、戦後になってからバレたが)

 ほとんどのまだ生きている兵士が隠れたころに、山口が装着型無線機を使って重い口調で兵士たちに言った。
「……ここでずっと隠れているわけにはいかない! みんなで一斉に突撃して、集合地点の防壁のところまで行くぞ! 絶対に固まるなよ!」
すでにこの中隊の3分の1の兵士が、戦死、または行動不能になっており、生き残りの衛生兵たちが右往左往していた。しかも、生き残っている兵士たちは既にすっかり疲れ果てていた……。