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第１章　カーム強襲作戦

　第５話　『忘れてはならぬ戦い』



　ある出来事を思い出した山口は、艦の自室のベッドの上で悪夢に苦しんでいた……。寝間着は、汗ですっかり濡れている。よほどの悪夢のようだ。
　この悪夢の元となった出来事は、以下のことであった。



【時間軸】・・・異次元暦４２７３１年　６月６日　正午
【位置】・・・ＦＦ界雲　第７世界　カーム上空



　一面の雲の上に青空が広がっていた。雲の下の様子はさておき、太陽の光を満喫できる雲の上は、ただ静寂に満ちていた。

　突然、雲の上の青空のあちこちで、バチバチと激しく電流が流れ始めた。それはまるで、ターミネーターの登場シーンのようだ。
　それらの電流はどんどん大きくなり、その激しい電流は、水平に円の形をつくる。それからいきなり、円の内側の面がゆがみ始め、赤色と青色と黄色の三原色が、ランダムに混ざり合った面に変化した。
　それらが青空にいくつも浮かんでおり、静寂に満ちていた雲の上は、たちまち緊張感に満ちることとなった……。

　次の瞬間、電流を放ち続ける円の内側の面から、巨大な物体がゆっくりと出てきた……。それも１つの円からだけでなく、青空に浮かぶすべての円からだ……。緊張案はピークに達しようとしていた。
　その巨大な物体には、『大日本帝国連邦陸軍』などの文字文字や日の丸のマークがあった。とても頑丈そうで、図体のでかさを誇示しているようにも感じられた。

　２０個以上はあるそれらの物体は、円から完全に出た途端、地上に向けて急降下を始めた……。いくつもの巨大な物体が急降下していくその光景は、圧巻という言葉が一番合っていた。



　用語解説にて詳しく後述するが、その巨大な物体は、異次元から目的の世界の地上に、兵士や兵器などの物資を「速達」するための輸送兵器であった。その輸送兵器のカテゴリーは強襲降下ポッドで、名前は『ネイル』という。