われてもすえに…
「見事だった。そなたの願掛けは叶うぞ」
その言葉に、政信は耳を疑った。
そんな彼をよそに、老人は続けて言った。
「しかし、お前がやらねばならん。お前が望んだ物をお前の力で取り返すのだ」
「……俺の、力?」
「さよう。お前の『権力』ではないぞ。お前の『誠意』で取り戻すのだ」
不思議な老人の助言に、政信は考えた。
「……命令はダメってことか。それはどうすれば……」
その老人に聞こうと再び視線を戻したが、そこには誰も居なかった。
「あれ? 居ない……」
しかし、声だけが頭の奥に響いてきた。
『よく考えろ。あれはお前にとって何なのか。しっかり伝えろ。なぜあれが必要なのか……。』