盟友シックス! -現実と幻想の狭間で-
第11章 東京に散る!
(私を追ってきたか よほど命がいらんと見える)
俺たちをスカイツリーの上から見下ろしながらラギアが言う
(はて? レシアスにはそいつらの相手をするように言ったはずだがなぜそこにいる?)
(黙れ お前はゼクレスの仇だ お前があの時ブレスを止めていればゼクレスは死ななかった)
(人間如きに情を移した裏切り者は我らの同志には必要ない 貴様もあの裏切り者のように死にたいか?)
「死ぬのはお前だ 仲間を平気で殺せるお前に王を名乗る資格はない」
(人間風情がよく言う… もう貴様らには我に許しを請うという選択肢はないぞ)
「いらないよそんな選択肢 仲間を平気で殺して何事もなかったかのように王だと名乗れるような奴に屈して生き延びても俺は自分が許せなくなるからな」
(それほど我を怒らせたいのか?)
「何とでも言うがいいさ お前が怒ろうが狂おうが俺には関係のない話だからな」
(ならば死ぬがよい!)
ラギアはブレスを噴く
「何度も何度も当たるかよっ!」
全員が素早く避ける
(その程度の機動では私を倒すことはできん!)
ラギアはブレスを連射し始めた
「せいっ!はっ!」
俺たちは次々避けているものの厳しくなってくる
(このままでは…ならばっ!)
「レシアス何をっ!?」
突然レシアスはラギアに突撃した
(何をするっ!)
(共に死ねぃ! 我が友のためにな!)
ラギアとレシアスはスカイツリーの上で激しい格闘を繰り広げ徐々にスカイツリーが傾き始める
(飛竜風情が王に盾突くなどっ!)
(貴様とて飛竜だろうにっ!)
激しい戦いは続きスカイツリーが限界近くまで傾いた時だった
「きゃぁっ!?」
長谷崎に流れ弾が迫る
俺は長谷崎を助けに行こうと飛び出したが間に合わない
「長谷崎ーっ!」
俺が叫んだ時、突然世界がスローに見え俺だけがいつも通り動ける状態になった
「今なら、行けるっ!」
俺は走りながら長谷崎を拾い上げその場を離れた
ズドォォォン!
すぐに世界は元に戻り長谷崎のいたあたりがブレスによって爆発する
「…宮寺?」
俺は長谷崎をおろし自分の鎧を見てみた
そこに今までの俺の鎧はなく黒いオーラに包まれて稲妻を纏った鎧があった
背中には翼もある
「ゼクレス…力を貸してくれているんだな」
俺は剣を握り直しレシアスの所に飛び立ったその時
ズガガガガガガガガガァァァァン!
竜同士の戦いに耐えられなくなったのか傾いていたスカイツリーが根元から破断し崩れ始めた
(うぉぉっ!?)
(くぅっ!)
二頭の竜も空中に投げ出されそれぞれ体勢を立て直す
(甘いなっ!隙だらけだぞっ!)
ラギアはレシアスを蹴り落としその場を離れる
(静かに眠れ この塔と共になっ!)
体勢を崩したレシアスにスカイツリーの巨大な残骸が降りかかりレシアスが顔を背け覚悟を決めたときだった
「間に合えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
再び世界がスローになり俺はレシアスの上にあった残骸を粉々に切り刻んだ
残骸は細かい破片になり俺たちに降り注ぐ
「せいっ!」
俺は剣を薙刀のように振り回しそれを防いだ
(ゼクレスッ!? …いや違う 宮寺かっ!?)
「レシアスはみんなと離脱しろ 俺はラギアと決着をつける」
(こいつはゼクレスの仇だ! 邪魔をするなっ!)
「もう誰も死なせたくないんだ! 早く行けっ!」
レシアスはためらっていたが仲間の所へと飛んで行った
(フッフッフッ… 仲間を逃がすため自ら犠牲になりに来たか 無駄な足掻きだ いくら竜の力を得ようと人間は人間、私に勝つことはできん)
「俺がどうなろうとあんただけは落とす 絶対にな」
(人間如きがいくら力を得たところで竜との差は埋まらん事を知るがいい)
「竜の力だけで埋まらないのなら絆の力も使って埋めてみせるっ!」
(ならば絶望を知るがよいわぁっ!)
俺とラギアの激しい斬り合いが始まった
お互いに一歩も譲らずお互いが傷ついて行く…
「お前だけはぁ!仲間の大切さもわからないお前だけはぁ!落ぉぉぉとぉぉぉすっ!」
世界はスローになり俺は抵抗できないラギアに容赦ない連撃を浴びせる
ラギアは傷だらけになり地面に落ちた
「今なら尾と翼で許してやる 許しを請うがいい!」
俺はラギアの喉笛に剣を突き立てる
(私が人間風情に許しを請うなどっ!)
ラギアは最後の抵抗を試みるがスロー状態では俺に当てることなどできず後ろに回って蹴られるのがオチだった
(がはぁっ!)
「最後のチャンスをやろう 今すぐ許しを請うなら命だけは助けてやる」
(まだだ、まだ終わらぬ!)
ブレスを放とうとしたラギアの腹を横一線に切り裂き俺は仲間の所に戻った
「宮寺っ!」
長谷崎が俺に抱き着いてくる
「よかった… 宮寺なら必ずやってくれると思ってたよ」
しかし戦いは終わっていなかった
(私だけでは…逝かん この世界も…連れて…行くぅ…)
ラギアは最後の力で自らの命と引き換えに黒く周りを吸い込み消滅させる球体を呼び出した
「うわぁっ! 次元の歪みを呼び出したのか!?」
現れた竜狩も飛ばされそうになる
「どうにかならないのか竜狩ぃっ!」
「方法が一つだけあるっ!」
「どうするんだよ!?」
竜狩は飛ばされそうになりながら光る球を取り出した
「これを持って誰かが飛び込めば消えるっ!」
「飛び込んだ奴はっ!」
「帰ってくる確率はほぼゼロだよっ!」
「ゼロじゃないんだなっ!」
俺は竜狩から球を受け取る
「宮寺っ!行かないでっ!」
長谷崎の叫び声が聞こえる
「でも、誰かが行かなきゃ世界はっ!」
「でも宮寺はどうなるの!?」
「俺は必ず帰ってくる!約束する!」
俺は黒い球体へと飛び立った…
バシュッ!
宮寺が飛び込むと同時に閃光が周囲を包む
「きゃぁっ!?」
長谷崎の叫び声が聞こえたがすぐに閃光は消えた
世界は元に戻り黒い球体は消えたが宮寺の姿はなかった
「宮寺… 宮寺ーーーっ!」
長谷崎の声は虚しく響くだけだった…
作品名:盟友シックス! -現実と幻想の狭間で- 作家名:ぺこ