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盟友シックス! -現実と幻想の狭間で-

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私はハンマーで受け止めるも素早い攻撃にハンマーじゃついていけない
でも、その戦い方にある影が重なる
「宮寺!」
なぜか口をついて出た名前に竜がわずかに反応したように見えた
「グァァァッ!」
なおも攻撃の手を緩めない竜に私はついに馬乗りになられる形になった
「ダメ…やられる」
私は死を覚悟した…

「そいつ」は自分の知っていたとおりにニンゲンを襲い、そして追いつめた
捕まえたニンゲンの女を殺すことなど容易い(たやすい)はずだった
だが「そいつ」はそのニンゲンを殺してはならない気がした…

「とぉりゃぁーーーっ!」
私を殺すことをためらった竜の横腹に尾蔵の槍が刺さる
「グワァァァァァァァッ!」
竜は一声吼えて二、三歩退くもそのまま動かなくなった
「やったの? …!」
砂になって崩れ落ちていく竜の亡骸の中から現れたのは誰でもない、宮寺だった
「宮寺っ!」
急いで駆け寄るも宮寺は動かない
「宮寺? …嘘でしょ?冗談やってる状況じゃないでしょ?宮寺、宮寺ぁ!」
ゆすっても揺らしても宮寺は動かなかった
「ちょっと見せて」
来村さんが宮寺を確認する
「意識なし、瞳孔は開いてない、心臓は動いてる 息もわずかだけどしてる」
すなわち生きているということだった
「宮寺…良かった…」
今は動かない宮寺を私はギュッと抱きしめた…

(あらら…やられちゃったか)
隣にいるレシアスが言う
(まぁいいじゃないか 実験は成功したんだ)
(そうだねゼクレス じゃあラギア様に報告しないと)
そう言ってレシアスは部屋を出て行った
(あいつは昔から実験になると性格変わってたな…)
私はあの小僧とその仲間たちを映しているモニターを見ながらつぶやいた
(やはり私の思った通りだ あいつなら自分を取り戻せると思っていたぞ)

「うぅ… ここは?」
俺が目覚めたのは砂の上だった
「気が付いた?」
目の前にいたのは長谷崎と来村だった
「俺は…どうしてこんな所に?」
「もしかして…何も覚えてないの?」
「変な液体に放り込まれて電撃流された所までは覚えてるけど…」
長谷崎がため息をついて首を横に振る
「じゃあ教えてあげる 宮寺は…竜になってたんだよ?」
「…ははは、冗談はよしてくれよ」
そう言って立ち上がろうとすると手に何か当たった
持ち上げてみると… 赤い鱗だった
「それでわかったでしょ?」
「…ホントなの?」
「嘘ついてどうすんの」
もしかして…嫌な考えが頭をよぎる
「…俺は、竜にされて長谷崎たちを襲ったのか?」
「…うん」
「何だってんだよ… 俺は、俺はぁ…」
「でも、竜になっても宮寺の人格は残ってたよ」
「え?」
「だって…宮寺は私を殺すの一瞬ためらったもん」
誰も殺さなかった…そのことだけでも俺は少し安心した
「さて、襲われた分しっかり戦ってもらわないとね」
俺たちは城の中へと入って行った…

俺たちが玉座の間にたどり着くまでだいたい3時間ほどかかっただろうか
「ここか?宮寺」
「多分…」
「もう散々彷徨った(さまよった)んだからそろそろ正解でいいと思う」
「いいか?開けるぞ?」
扉を開けた俺たちの前にいたのはラギアとその両サイドに立っているゼクレスとレシアスだった
(竜になってもなお自らの仲間を守る… やはり貴様には見どころがあるようだな)
「アンタのせいで裏切り者になる所だったんだ ただじゃおかねぇぞ」
「宮寺、こいつは?」
(わが名はラギア・アークルス この世界で竜の王になる者だ)
「そいつは無理なことだな お前は俺がぶっ殺すんだからさぁ!」
(…貴様とは戦いたくはないが仕方あるまい 格の違いを知るのだな)
ラギアは立ち上がり俺たちの方へと進み出てきた
「来るぞ!」
(皆、虚空に散れ!)
ラギアはゼクレスのようなブレスを放ってくる
「避けろっ!」
俺たちは素早く左右どちらかにステップした
(甘いわぁ!)
ラギアは手から雷を放ちそれが長谷崎の足元に直撃する
「きゃぁっ!?」
こけた長谷崎にラギアが再びブレスを放つ
「長谷崎っ!」
俺は長谷崎を突き飛ばし自らブレスの前に身を晒す形になった
その時、世界が突然スローになった
「死ぬ間際ってこんなもんか? まぁ裏切り者で生き続けるよりましか」
俺は静かに目を瞑り(つむり)顔をそむけた…
轟音が響きわたり俺にブレスが直撃する…はずだったのだが俺は生きていた
(はぁぁっ!)
俺の前にいたのはゼクレスだった
(ゼクレス何をっ!?)
レシアスの叫び声が響く
(すまぬ、レシアス 私はラギア様ではなくこやつらに賭けたのだ)
「何っ!?」
(お前からはラギア様を超える強さと優しさを感じる… そのような者をやすやすと死なせるわけにはいかんのでな)
「そんな…俺は他の竜を殺したんだぞ?」
(そのような事にこだわる私ではない 宮寺と言ったか?)
「ああ」
(お前ならラギア様を倒し世界を救える 私の希望と命、託したぞ)
徐々にブレスに飲み込まれていく中ゼクレスは最後に振り返ってこう言った
(次会うときは人間同士で会おう…)
大爆発が起こり俺は後ろに吹き飛ばされた
「うごぁっ!」
煙がなくなった時、もうゼクレスの姿はなかった
(ゼクレーーーーースッ!)
「ゼクレーーーーースッ!」
俺とレシアスの叫びが同時に響く
吹き飛ばされ仰向けに倒れこんでいた俺の胸には2枚の黒い鱗が乗っていた
(馬鹿者が… 人間如きに情を移すとは…)
ラギアはそう言って竜狩が開くようなゲートを開いた
(私は東京に帰る レシアス、相手をしてやれ)
「待てよっ!」
俺の叫びも聞かずラギアはゲートの中へと消えた
「クソッ!」
俺が振り返った時立っていたのは怒りと哀しみに満ち溢れた目で俺を睨むレシアスだった
(お前が…お前がゼクレスをぉっ!)
「…すまない 俺の責任だ」
俺はゼクレスの鱗をポケットに入れ、鎧を脱いだ
「宮寺何をっ!?」
「レシアス、ゼクロスが死んだのは俺の責任だ やるなら一思いにやってくれ」
俺はレシアスの前に身を晒した
(うぉぉぉぉっ!)
レシアスは俺に飛び掛かってきた
俺は覚悟はできていたので静かに目を閉じた
目を開けたとき今にも俺の腹を貫きそうな位置で爪を止めたレシアスがいた
「レシアス…」
(ゼクレスはお前に賭けて散って行ったのだ それを…わが手で葬ることなどできん)
レシアスは泣いていた
「レシアス…これを」
俺はポケットからゼクレスの鱗の一枚を差し出した
「俺の近くに落ちていた物だ お前が持っておくべきものだと思って…」
レシアスは静かに俺の手から鱗を受け取ると泣き崩れた
(ゼクロスッ…)
俺は静かに鎧を着るとみんなの所に戻った
「なんなの?あの黒い竜は」
「あいつは…竜らしくない優しさを持った奴だったよ 俺はあいつとならうまくやっていけそうな気がしてたんだが…」
「そんな竜だったんだ…」
「なぁ…こんな所で言う事じゃないと思うんだけど…」
「何?」
「俺には…竜が本当に敵かわからなくなったんだよ」
「宮寺君の言いそうなことだ」
現れたのは竜狩だった
「でも今のみんなを裏切るつもりはないんでしょ?」
「それはそうだけど…」
「じゃあそれで十分じゃない」
竜狩が笑顔で言う
「ラギアだけは倒すつもりなんでしょ?」