数式使いの解答~第一章 砂の王都~
《終幕》Not Good End
「――! ――――――!!」
砂漠の中、ロピタルの姿を、朝日が照らしている。
その遥か後方、同じように、太陽がダランベールの街に光を注ぐ。
街には、ロピタルの通った場所が、一本の太い道として残る。
道の両側には多くの兵がいた。全員が疲れきり、装備を下において眠っている。
一晩。
それは、ロピタルがダランベールを襲った時間だった。
わずか一晩でダランベールの街は、多くの破壊にさらされていた。
しかし、それは全体から見ればごく一部のこと。
必ず街を滅ぼしていた天災が、滅ぼせなかったのだ。
それはまさに、奇跡だと言えた。
そして、一晩でその姿を大きく変えた街並みを、屋根の上から眺める影が二つ。
「……守れたのに、何でだろうな」
影が、ポツリともらした。
「君が、何を思ってそう感じるのか、わたしには推測するくらいしかできないよ。……でも、ね。それはきっと、君がすごく優しいからだよ」
そう言って、優しい眼差しを向ける。
影がひとつに重なり、地面にきれいな染みができた。
影は、その思いを雫に変え、自らの心に、深く深く――刻み込んだ――。
―― When the boy meets the girl, one story starts.
But, the first story is NOT GOOD END.
作品名:数式使いの解答~第一章 砂の王都~ 作家名:空言縁