ツイン’ズ・アナザー-魔法使いになったら-
時すでに遅し、あたしの顔は真っ赤になって吹っ飛ぶ寸前です。だって、チョコの形が、チョコの形がハート型なんだもん。しかも、『愛してます』ってホイップチョコで書いてあるし。自爆です。
ハート型のチョコを見た愛さまは少し笑を浮かべました。てゆーか、愛さまに笑われた!? もう、恥ずかしくって、生きて行けないです。
ああ、そしてチョコレートが愛さまのお口の中に……色っぽいです。
「うん、おいしい」
おいしいって、溶かして固めて、ホイップしただけですよ。
もうダメです。恥ずかしすぎて、また、意識が……。
「大丈夫か!? 顔がさっきよりも赤いぞ!」
慌てたようすの愛さまがあたしの顔を覗き込もうとして、足を滑らせて、そのままあたしの身体を……。
……頭が真っ白になりました。だって、だって、愛さまの柔らかい唇が、あたしの唇に重なって……。
「す、すまない!?」
愛さまは飛び上がり、目を丸くしました。こんな愛さまの表情を見たのは初めてです。だって、いつもクールな表情ばっかりで。この表情はあたしだけのものなんですよね。
保健室に沈黙が流れました。
少ししてあたしは正気を取り戻し、ことの重大さに困惑。
だって、キスですよ。憧れの愛さまとキス。それもあたしのファーストキスを奪われました。
もう、何がなんだか……絶対今日で宇宙は滅びます。
あたしは顔を真っ赤にして保健室を飛び出しました。
恥ずかしさもあるけど、それよりもうれしさでいっぱいです。だって奇跡が起こったんですよ。……もしかして、魔法のチカラ?
違います。魔法のチカラなんかじゃないですよね、きっと。でも、どっちでもいいんですけどね。これはあたしの大切な思い出ですから。
とにかく誰でもいいから、素敵な思い出ありがとう♪
あたしのファーストキスはチョコの味。なんちゃってね。
おしまい
作品名:ツイン’ズ・アナザー-魔法使いになったら- 作家名:秋月あきら(秋月瑛)