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海野ごはん
海野ごはん
novelistID. 29750
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つがい

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 同窓会から、しばらくして、龍一が久しぶりに私の目の前に現れた。
なんだかこの前より若返ってるような気がした。多分それは笑顔のせいだろう。
同窓会の夜のことは忘れて、またいつものように馬鹿話をして笑いあった。
あれから、ずっと私は後悔していた。
あの時、流れに乗ってそのまま付き合っていたら「つがい」になれたかもしれないのにと。
しかし、それも運命だ。今度の3回目の出会いはどうなるんだろう。

「あのさ、美香は今好きな人いる?」いきなりきわどい質問が飛んできた。
「いるよ・・」本当はあなただと言いたかった。
「そうなんだ・・」さっきまでの笑い顔とは別人になる龍一。がんばれ龍一!
「それでもいいからさ、また友達になってくれないかな?」
「いやだよ・・・。友達より恋人がいい」言ってしまった。
急に笑顔になる龍一。そしてテーブルの上に置いていた私の手を取ると、口元に引き寄せキスをした。
龍一から私への初めてのキスは指先だった。

「やっとわかった。高校生の時ちゃんと俺と付き合ってくれと言えばよかったんだ。かっこつけて友達でいようと言ったから遠回りしてたんだ。やっと大人になってわかった。ずっと俺、美香のことが好きだったんだ・・」
龍一はそう言うと何回も私の指先にキスをした。
「私だってそうだよ・・・知らなかったんだ・・・ほんとの気持ちが・・・」言えなかった。



それから私達は現在まで付き合っている。恋人同士だ。
「不倫じゃない、これは純愛なんだ」と彼は言っている。
どこかのタレントが言ってた「不倫も貫けば純愛なんだ」と。
納得している。
そうやって8年間が過ぎた。

いまでも龍一といると幸せだ。今度の同窓会の幸せ比べでは多分私が一番だろう。
「つがい」になる運命は決まっていたのかもしれない。
多分、来世も一緒になるまでいろいろずいぶんあろうけど、また彼と「つがい」になる自信はある。根拠はないけど。
龍一が呼んでる声がする。また彼のお手伝いしなきゃ・・・・

                                (完)

作品名:つがい 作家名:海野ごはん