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海野ごはん
海野ごはん
novelistID. 29750
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つがい

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「つがい」





8年前にさかのぼる

「同窓会の幹事してくれないかなぁ~」
龍一が、アイスコーヒーのストローをぐるぐる回して聞いてきた。
「えっ、私が?」
「そう、美香とやれたらいいなぁ~と思って・・」
27年ぶりの高校の同窓会をやろうと龍一が言い始めた時は、
ただの参加者だと思っていたのに龍一は私に協力を求めてきた。
龍一は高校時代、我がクラスの級長をしていた。
よくあの頃からみんなをまとめていた。
だけど何か行事があるたびに私を呼び出し、いつも彼の秘書のようなお手伝いをさせられていた。
久しぶりに会ったのに、やっぱりまたお手伝いを求められたのであった。


 お互い45歳になり、同じ町に住み、それぞれ普通に結婚して普通に子供を持ちここまできた。
ただ私は残念ながら今年の初めに離婚した。
どこからか聞きつけて彼は私の目の前にここ最近現れるようになった。私が独り者になったのを狙ったかのように。
少なくとも私は龍一の事を嫌いではなかった。いや、好きだったのかもしれない。
高校3年生の時「男女の間でも友情は成立するよね。だからこのままずっと友達でいよう」と彼は告白のつもりで言ったのだろうけど、私はただの友達になりたくなくて断った。
あの時、ストレートに付き合ってくれなんて言われてたら多分、私は龍一と結婚してたのかもしれない。

今なら気づくことも、あの頃はちょっとした言葉尻に傷ついていた年頃だった。
そして、お決まりのパターンであるかのように彼との縁も薄くなり、お互い別の伴侶を選んだわけだ。

作品名:つがい 作家名:海野ごはん