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吉葉ひろし
吉葉ひろし
novelistID. 32011
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紫色のバラの花

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外の寒暖計は33度を指していた。久しぶりに庭の手入れを始めた。赤やピンクの色の他に紫のバラが咲いている。近づいて見るとアブラムシが葉に黒くなるほどたかっていた。
それを食べに小さなアリがバラの枝を走り回っていた。
紫色のバラは見ているだけでも気持ちが落ち着く。その香りも新鮮な気持ちを運んでくれる。
形が見えないものではあるが、見た事もない人の気持ち、文字もすがすがしさを運んでくれる。電話も姿が見えないからと神経を使って話す。
文字はもっと神経を使う。その文字はその方の姿を映し出す。
その方が少しづつ近づいて見える。それは楽しいものである。その楽しさが、明日を開けてくれる。明日はどんな言葉が来るだろうかと。
それは一輪のバラの花よりも美しいかもしれないと思う事がある。
バラには言葉が無い。ただ誰にでも平等に美しさを見せてくれる。
人の心は時には優しさばかりではない。でもそれは話し合えば良いことなのだ。
人の心に触れて居心地の良いのは幸せを感じる。
ぼくは、美しい花を維持するために消毒を始めた。
噴霧器の先に小さな虹が出来た。
作品名:紫色のバラの花 作家名:吉葉ひろし