小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

「レイコの青春」 40~最終回

INDEX|7ページ/15ページ|

次のページ前のページ
 


 「吉報が、もうひとつあるの。」



 嬉しさに目をうるませて高揚している、陽子の耳もとで、
レイコが小声でささやきます。

 「やっとのことで、ピアノの単位が取れたのよ。
 ここだけのはなし、
 美千子には随分と苦労をさせてお世話にもなったけど・・・
 あとは、残りの単位の習得だけで、
 目標通りに、3年間での、保母資格取得の希望が見えてきました。」


 「うわ~、そうなんだ。
 レイコさんも、頑張りましたねぇ~。」


 「ちょっと。・・・悪いけど、
 私は、そこにいるレイコなんかよりも、
 もっと、何倍以上も、頑張ったわよ。」


 腕組みをした美千子が、レイコの背後へ現れました。
陽子が怪訝な顔で、美千子の顔を見つめます。



 「レイコったら、
 何度教えても、何度も、同じところでつまずくんだもの。
 きっと、才能が足りないせいだと思うけど、
 練習をいくら繰り返しても、さっぱり成果が出ないのよ。
 あたしだって、レイコのためだからと、根気強く頑張ったけど、
 教える方が嫌になっちゃった。
 もっと器用だと思っていたのに、予想外なほど駄目すぎるんだもの、
 やっぱり保母には向いていないと、あの時ばかりは、私も心底思ったわ。
 やっぱり、レイコは保母にはなれない運命なんだって・・・・。
 でもさぁ・・・結局、何とかやり遂げたんだもの。
 よくよく頑張ったと思うわよ。
 粘り強く頑張ったというだけの、甲斐がありました。
 レイコも!
 そして何よりも
 この、あ・た・しも!!!。」


 「あら~、
 さすがに美千子さんは、鬼のピアノ講師です!
 そこの部分だけが、見事に強調をされていて、
 誰が聴いても、いちばん強い【フォルテッシモ】になっています!」

 陽子が声をたてて笑っています。



※「フォルテシッモ」とは
楽器演奏用語のひとつで、「最も強く」と言う意味です。