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吉葉ひろし
吉葉ひろし
novelistID. 32011
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うこん桜の香り

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その頃、百合に稔から電話が来た。どうしても会いたいと言うのだ。離婚の話だろうと承知した。
約束の喫茶店に行くと、稔はすでに来ていた。
「コーヒーを飲んだら出よう」
「ここでいいでしょう」
「ここではどうしても話せない」
「人に聞かれてはまずい事なの」
「大事なことだから」
稔の懇願するような態度に百合は承知した。
「ゆっくり話したいから、モーテルでいいね」
「いいわよ」
「ありがとう、百合をどうにかしようなんて気は無いから」
「当然でしょう」
モーテルに着くと、稔は冷蔵庫からビールを出した。
「運転どうする気」
「百合が運転して帰ってくれ」

作品名:うこん桜の香り 作家名:吉葉ひろし