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勿忘草とワンピース

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 あなたは大切な人間が再び居なくなってしまった事はあるだろうか?
 私はある。
 結子はもういない。
 
 「奈緒って何か可愛くなったよねー」
 「はい? 何言ってるんですか詩織さん?」
 「いやそのピンクの水玉ワンピとか、髪も下ろしてるし、部屋に何か押し花も飾ってるし」
 「うーん……まあ知り合いの勧めってやつよ」
 「あー、例の彼氏?」
 「まあそんなとこ」
 「でもさあ……なんでそのワンピース二着も持ってるの?」
 「いろいろあってね……まあ気に入ってるから」

 結子、あなたはきっとあの花を渡す為に、あの春が来るまで待ってたんだね。
 私に勿忘草を渡すために。
 つまりあなたは、『私に忘れないで欲しい』って願ってくれたってことだよね?
 なら、私の答えは『絶対に忘れない』。
 何があっても忘れない。
 
 
 あなたがあの時いた事は、もう一つのワンピースと勿忘草が、教えてくれるから。
作品名:勿忘草とワンピース 作家名:赤ずきん