「セックスアンドザシックスティーズ」 第二十三話
自宅に帰った典子は気持ちを確認するように夫に話しかけた。
「あなた、お話しがあるの・・・今夜いいかしら?」
「どうしたんだ?また責めたいのか、俺の事?同じ事何度も言わせるなよ」
「違うの。自分の事を聞いて欲しいの」
「お前のことを・・・か?」
「うん、そう。話さなかったことがあるの・・・聞いて欲しいの」
「好きな男でも出来たのか!」
「バカ!そんなんじゃないよ」
「じゃあ、なんだ?」
「だから夜って言ってるでしょ」
「今はまずいのか?」
「片付けもしてお風呂にも入ってゆっくり話したいの・・・」
「ふん、そうか。じゃあ先に風呂にでも入ってくるから」
「そうして・・・ありがとう」
夫は「ありがとう」と言った典子の言葉に耳を疑った。振り返って目が合った典子は優しい顔をしていると感じられた。
作品名:「セックスアンドザシックスティーズ」 第二十三話 作家名:てっしゅう