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海野ごはん
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novelistID. 29750
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雨の日に彼女達へ本をあげる

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内容は不倫の話だった。少し読んでみる。適当に濡れ場があり、これでいいだろう。

僕はレジにもっていくとカバーをつけないでと言った。

それから、プレゼント用に包装して貰うと、立派な贈り物になった。

そういえば、この本を彼女にあげると、今日1日で2人の女性に本をあげるなと気づいた。

いまだかって、一日で2冊の本をあげることもなかった。



彼女はいつもの服で特別に華やいだ服を着ることもなしに来ていた。

彼女のためにバーのほうからシャンパンが開けられた。

僕はバッグの中からプレゼントを取り出しあげた。先ほどの本だ。

「誕生日、おめでと・・・でもないか。もういい年だし」

 「ありがと。歳は内緒ね」

「これ、プレゼント。君にぴったりと思って買ってきた」

 「まあ、ありがと。なに?ここで、あけていい?」

「いいよ」

彼女は包み紙を破らないように大事にあけた。

 「へー、本じゃない。珍しい。何の本?」

「タイトルを読んでごらん」

 「愛には・・・少し・・・たりない・・・」 彼女は上目ずかいで僕を見てくすりとした。

「君にぴったりの本と思って、買ってきたんだ」

 「・・・・あなたに、ぴったりかもよ・・・」彼女はまた、笑った。

「不倫の内容みたいだし、影響されないようにね」僕は言った。

  「おかげ様で、勉強させていただきます」

僕たちはそれから、深夜までしこたま飲んだ。

閉店時間になり、二人で店を追い出された。

僕は彼女の腕を取り、送っていくと歩いた。

誰もいない街の中を2人で腕を組み歩いた。

雨はまだ少し降っていた。

僕は今日2人の女性に本をあげたことを言わなかった。

人生の中で1日に2冊も二人の女性にあげるなんて、これからもないだろう。

別れ際、彼女はキスをくれた。

その日は特別な日になった。



(完)