ココロを持った人形
目を開けると、わたしは勉強机に突っ伏していた。人形が直ったら安心して眠っちゃったらしい。
机の上では小さな女の子が笑っていたけど、わたしは上手く笑えなかった。
お夕飯の準備をするために部屋のドアを開けると同時に、一階の電話が鳴った。
わたしが寝ているうちに帰っていたお母さんが受話器を取る。その内容が聞こえる前に逃げるように部屋へと戻った。
夜に電話がかかってくることはそんなに珍しいことじゃない。でも、わたしはその響きがいつもと違うことに気がついていた。
コンコンと部屋のドアをノックする音。
「優香……起きてる?」
今まで聞いたことがない お母さんの声。
「……」
わたしは返事をしないで窓から夜空を見上げていた。
きっと、流れ星が見られると思ったから。
でも、星の代わりに流れ落ちたのは、わたしの涙だった。