「セックスアンドザシックスティーズ」 第二十二話
「典子さん、彼を探すんじゃなくてご主人とゆっくり話されて昔のように仲良くなさってはいかがなの?」
「美紗子さん・・・何言うのよ。無理よ、そんなこと。あの人には好きな女性が居るのよ、はっきりとそう言ってるから」
「違うわ。きっとご主人もあなたのことが好きよ。相手の女性とは本気じゃないような気がする。男の人って本気の浮気は隠すもの」
恵子は自分の経験からそう言った。
「浮気は隠すもの?確かにそうね。妻の前で浮気していますなんて言う人居ないよね。逆もそう。じゃあ何?私へのあてつけ?」
「多分自分に振り向いて欲しいというサインなんじゃないの?」恵子は続けた。
「典子さん、子供が育って手が離れたら男の人ってかまって欲しいのよ妻に。でも結婚してからずっと勝手して来た夫にいまさら仲良くしようなんて妻は思えないのよね。うちなんか典型的・・・ひょっとして夫が私のことを求めているのかと考えたらぞっとするけど、そうなのかも知れないわ」
映子はなんだか典子の言葉が引っかかってしまった。
作品名:「セックスアンドザシックスティーズ」 第二十二話 作家名:てっしゅう