天界大戦争 超伝奇
かつて、それは混沌と暗闇の中にあった。そこに一筋の光が差し込んだ。
光。それは、「ルシファー」という。「影無き光である。」
ここに、一人の青年がいた。彼の名前はリヴァイアス。シリアの荒ぶる神「アーコル」の弟であった。
天界の情勢は緊迫していた。いよいよ、我らが盟主、希望の光が「主」と決別しようとしていた。
「兄上いよいよですね!」リヴァイアスは興奮を抑えきれないでいた。
「主なる、神がいよいよ、その邪悪な正体を明らかにしてきたのですね!」
「我がシリアも、エルサレムの希望の光、ルシファー様と共に戦うのですね。」
兄なる、アーコルは大きく頷いた。その態度は自信と威厳に満ちていた。
勝てる。そこに居合わせた誰しもが、そう、確信しざるを得ないものだった。
シリアのある、ゴラン高原には、神々しいばかりの朝日が差し込んでいた。決戦は近い
それは、今を遡ること1万と2千年まえのことであった。
「ミン、いくのか?」下級悪魔の少年、リリボックは不安げな眼差しで「ミン」を見つめていた。ミンは、リリボックと同じく、下級悪魔であった。
「戦が始まるんだよ!」
「あたいだって、光様のために戦うんだ!」血気さかんな「ミン」であった。
「光様は、世界を光に包み一点の曇りのない、正義を実現なさる。その為の戦いをお始めなられたんだよ!ミンだって、戦わなきゃ!」
「だけども、ミン、親方様がなんて仰られるか?僕は不安だよ」とリリボックは不安げであった。
「だから、今夜抜け出すんだよ。もう、親方様の”僕”なんてやってられないわよ。光様は、誰もが、誰の”僕”ではない。ひとり、ひとりが、主人公の”民主主義”の確立を唱えられたんだよ!!!」ミンの頬はうす赤く高揚していた。
「難しいこと知ってんだなあ、ミンは?」リリボックはひどく関心したようであった。
「すると、もう、麓まで辛い水汲みにいかなくてもいいんだ?」
「当たり前じゃない!自分のことは自分でするの!それが、新しい光の掟よ。」
「よし、今夜二人で、屋代を抜け出そう、山向こうには、アーコル宰相のお社があられる。アーコル閣下なら必ず、光様に会わせてくださる。光軍の総大将閣下だからね。」
リリボックは興奮してきた。誰もが、主人公の”民主主義”なんて、素晴らしい、壮大なスケールだろう、天地創造以来誰もが、「主」が中心でそれを、当たり前としてきた。それが、「否定」されるのである。「主」を頂点とする、ヒエラルキーが音を立てて崩れていく。リリボックもミンも「夢」を描いた。下級悪魔として生まれた「絶望」から解き放たれるのを感じた。
「兄さん、あまり深酒は体に毒ですわよ。」
アーコルは無類の酒好きでもあった。それ以上に、深酒の原因となったのは「ミカエル」の一件であった。光、ルシファーの弟であるにも関わらず、この男、ルシファーの側につかず、「主の軍勢の総大将」に祭り上げれた。アーコルは彼をよく知っていた。彼はこの天界では「裁く」者であった。「審判」を行うのが彼の仕事でもあった。「気に入らんな」
「奴はここまで、生涯を独身で通してきた。「愛を知らない男」アーコルの認識はそうであった。「愛」を知らず「裁く」男。アーコルは笑いをこらえるのが必死だった。
「主」は許しと、愛を説いている。その主が、ミカエルだと。「語るに落ちたな」
だが、また不機嫌に戻った。「女がいる・・・・」
そんな、恣意に耽る、兄を、妹のアリアスは頼もしげに眺めていた。兄は勝。妹のアリアスには「確信」があった。何故なら、光軍には、理想があった。”民主主義”この誰もが思いつかなかった、新たな歴史を、垣間見せているのが「ルシファーという光の奇跡」であった。ここ数か月、このシリアには、軍功を上げんとする「猛者」共がこぞって、城下に集結してきている、それだけではない、その、猛者どもは「希望」に満ちていた。新しい時代、新しい世界。ルシファーという光。昨日も、下級悪魔でありながら、ミンという少女とリリボックという少年が駆けつけてきた。戦の役には立たないかもしれないけど、アリアスはうれしく思い、力強くも思えていた。
エジプトには「ウラノス」がいた。この老獪で狡猾な老人は迷っていた。力と数の上では光軍、いわゆる、ルシファー軍が圧倒的ではあった。しかも、何より”大義”がある。だが、相手はあの「主」だ。ウラノスは知っていた。アフラマズダからアーリマンとアートマンに分裂し悪の部分を排除し、」完全な「善」アートマンとなったと、風潮している「主」ではあったが、怪しいものである。裏にはアーリマンの存在が見え隠れする。若いルシファーは何かを見落としている。今回の問題。天界の革命、という表向きの争いの裏に何か、強大な陰謀が渦巻いている。そんな、直感がこの、偕老をして思わせるのであった。
「エルメスを呼べ。」ウラノスは雷鳴の様な野太い声でハッキリ言った。
エルメスは、エジプトの知恵の神であった。今のままでは、光軍は負ける。意外なエルメスの分析であった。だが、彼には見えていた。光軍の輝かしい勝利が。彼には秘策があった。ウラノスをして彼をエジプトの後継にせんとする。その期待に応えるべく、エルメスはウラノスに進言した。
「オシリスをアーコルの弟、リヴァイアスに嫁がせます。」
「オ・オシリスを・・・・」流石のウラノスも唸った。
オシリスは「死を」司る「女神」であった。
ウラノスはゾットした。リヴァイアスは「永遠」を司る「神」である。
エルメスは不敵な笑みを浮かべて、こういった。
「その子供は永遠の死」 「リヴァイアサン(最終兵器)と名付けましょう。」
一方、イラク、即ちメソポタミアには「アヌ」がいた。この全能の神は、今回の一件に戸惑いを隠せなかった。アーコルか・・・この別名バール神とも呼ばれ後のベルゼゼブとなる。このシリアの荒ぶるオオカミ。確かに奴は、「主」を撃つことが唯一できる存在であると。以前から言われていた。
「腹をくくらなければなるまい」
シリアがゴラン高原を超えて、イスラエルに攻め込むとなると、このイラクも主戦場になる。とすれば、どっちつかずとはいくまい。分は明らかにアーコル達、光軍にある。しかし、光軍が勝ったとして、このイラクの、自治権は保障されるのであろうか・・・
「マードック計画を急がねば・・・・」アヌは内心焦っていた。とにかく息子の「エア」に「美しき花嫁・ダムキアとの婚姻を急がねば・・・・」
天界は、先ほどまでとは、打って変わってどす黒い暗雲が立ち込めてきた。遠くで雷音が聞こえた。
「ほう、綺麗な嫁さんだなあ」シリアの城下では、エジプトからきた「オシリス」の話題で持ちきりだった。リヴァイアスは、少し照れた様子であった。この、美しい花嫁に心奪われるまで、さほどの時間もいらなかった。二人は恋に落ちていった。
光。それは、「ルシファー」という。「影無き光である。」
ここに、一人の青年がいた。彼の名前はリヴァイアス。シリアの荒ぶる神「アーコル」の弟であった。
天界の情勢は緊迫していた。いよいよ、我らが盟主、希望の光が「主」と決別しようとしていた。
「兄上いよいよですね!」リヴァイアスは興奮を抑えきれないでいた。
「主なる、神がいよいよ、その邪悪な正体を明らかにしてきたのですね!」
「我がシリアも、エルサレムの希望の光、ルシファー様と共に戦うのですね。」
兄なる、アーコルは大きく頷いた。その態度は自信と威厳に満ちていた。
勝てる。そこに居合わせた誰しもが、そう、確信しざるを得ないものだった。
シリアのある、ゴラン高原には、神々しいばかりの朝日が差し込んでいた。決戦は近い
それは、今を遡ること1万と2千年まえのことであった。
「ミン、いくのか?」下級悪魔の少年、リリボックは不安げな眼差しで「ミン」を見つめていた。ミンは、リリボックと同じく、下級悪魔であった。
「戦が始まるんだよ!」
「あたいだって、光様のために戦うんだ!」血気さかんな「ミン」であった。
「光様は、世界を光に包み一点の曇りのない、正義を実現なさる。その為の戦いをお始めなられたんだよ!ミンだって、戦わなきゃ!」
「だけども、ミン、親方様がなんて仰られるか?僕は不安だよ」とリリボックは不安げであった。
「だから、今夜抜け出すんだよ。もう、親方様の”僕”なんてやってられないわよ。光様は、誰もが、誰の”僕”ではない。ひとり、ひとりが、主人公の”民主主義”の確立を唱えられたんだよ!!!」ミンの頬はうす赤く高揚していた。
「難しいこと知ってんだなあ、ミンは?」リリボックはひどく関心したようであった。
「すると、もう、麓まで辛い水汲みにいかなくてもいいんだ?」
「当たり前じゃない!自分のことは自分でするの!それが、新しい光の掟よ。」
「よし、今夜二人で、屋代を抜け出そう、山向こうには、アーコル宰相のお社があられる。アーコル閣下なら必ず、光様に会わせてくださる。光軍の総大将閣下だからね。」
リリボックは興奮してきた。誰もが、主人公の”民主主義”なんて、素晴らしい、壮大なスケールだろう、天地創造以来誰もが、「主」が中心でそれを、当たり前としてきた。それが、「否定」されるのである。「主」を頂点とする、ヒエラルキーが音を立てて崩れていく。リリボックもミンも「夢」を描いた。下級悪魔として生まれた「絶望」から解き放たれるのを感じた。
「兄さん、あまり深酒は体に毒ですわよ。」
アーコルは無類の酒好きでもあった。それ以上に、深酒の原因となったのは「ミカエル」の一件であった。光、ルシファーの弟であるにも関わらず、この男、ルシファーの側につかず、「主の軍勢の総大将」に祭り上げれた。アーコルは彼をよく知っていた。彼はこの天界では「裁く」者であった。「審判」を行うのが彼の仕事でもあった。「気に入らんな」
「奴はここまで、生涯を独身で通してきた。「愛を知らない男」アーコルの認識はそうであった。「愛」を知らず「裁く」男。アーコルは笑いをこらえるのが必死だった。
「主」は許しと、愛を説いている。その主が、ミカエルだと。「語るに落ちたな」
だが、また不機嫌に戻った。「女がいる・・・・」
そんな、恣意に耽る、兄を、妹のアリアスは頼もしげに眺めていた。兄は勝。妹のアリアスには「確信」があった。何故なら、光軍には、理想があった。”民主主義”この誰もが思いつかなかった、新たな歴史を、垣間見せているのが「ルシファーという光の奇跡」であった。ここ数か月、このシリアには、軍功を上げんとする「猛者」共がこぞって、城下に集結してきている、それだけではない、その、猛者どもは「希望」に満ちていた。新しい時代、新しい世界。ルシファーという光。昨日も、下級悪魔でありながら、ミンという少女とリリボックという少年が駆けつけてきた。戦の役には立たないかもしれないけど、アリアスはうれしく思い、力強くも思えていた。
エジプトには「ウラノス」がいた。この老獪で狡猾な老人は迷っていた。力と数の上では光軍、いわゆる、ルシファー軍が圧倒的ではあった。しかも、何より”大義”がある。だが、相手はあの「主」だ。ウラノスは知っていた。アフラマズダからアーリマンとアートマンに分裂し悪の部分を排除し、」完全な「善」アートマンとなったと、風潮している「主」ではあったが、怪しいものである。裏にはアーリマンの存在が見え隠れする。若いルシファーは何かを見落としている。今回の問題。天界の革命、という表向きの争いの裏に何か、強大な陰謀が渦巻いている。そんな、直感がこの、偕老をして思わせるのであった。
「エルメスを呼べ。」ウラノスは雷鳴の様な野太い声でハッキリ言った。
エルメスは、エジプトの知恵の神であった。今のままでは、光軍は負ける。意外なエルメスの分析であった。だが、彼には見えていた。光軍の輝かしい勝利が。彼には秘策があった。ウラノスをして彼をエジプトの後継にせんとする。その期待に応えるべく、エルメスはウラノスに進言した。
「オシリスをアーコルの弟、リヴァイアスに嫁がせます。」
「オ・オシリスを・・・・」流石のウラノスも唸った。
オシリスは「死を」司る「女神」であった。
ウラノスはゾットした。リヴァイアスは「永遠」を司る「神」である。
エルメスは不敵な笑みを浮かべて、こういった。
「その子供は永遠の死」 「リヴァイアサン(最終兵器)と名付けましょう。」
一方、イラク、即ちメソポタミアには「アヌ」がいた。この全能の神は、今回の一件に戸惑いを隠せなかった。アーコルか・・・この別名バール神とも呼ばれ後のベルゼゼブとなる。このシリアの荒ぶるオオカミ。確かに奴は、「主」を撃つことが唯一できる存在であると。以前から言われていた。
「腹をくくらなければなるまい」
シリアがゴラン高原を超えて、イスラエルに攻め込むとなると、このイラクも主戦場になる。とすれば、どっちつかずとはいくまい。分は明らかにアーコル達、光軍にある。しかし、光軍が勝ったとして、このイラクの、自治権は保障されるのであろうか・・・
「マードック計画を急がねば・・・・」アヌは内心焦っていた。とにかく息子の「エア」に「美しき花嫁・ダムキアとの婚姻を急がねば・・・・」
天界は、先ほどまでとは、打って変わってどす黒い暗雲が立ち込めてきた。遠くで雷音が聞こえた。
「ほう、綺麗な嫁さんだなあ」シリアの城下では、エジプトからきた「オシリス」の話題で持ちきりだった。リヴァイアスは、少し照れた様子であった。この、美しい花嫁に心奪われるまで、さほどの時間もいらなかった。二人は恋に落ちていった。