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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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ツイン’ズ

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「名前ですよ、な・ま・え」
「名前って何の?」
「今の先輩は正義の味方なんですよ。正義の味方にはそれなりの名前がないと……例えば、直樹マンとか」
「却下」
 当たり前だ。直樹マンはないだろ、直樹マンはぁ〜。センス悪すぎだぞ。
「じゃあ、ナオキングってどうですか? 強そうじゃないですか?」
「却下」
 ウ○トラマンとかに出てくる怪獣じゃないんだからナオキングはないだろ。それじゃー俺が悪役みたいじゃんか。
「えーと、それではナオリタンはどうですか?」
「却下」
 ナオリタンって一文字変えたらナポリタン、俺はスパゲッティでもなければ食いもんでもない。
「えーと、えーと、じゃあ」
「もういい、自分で考えるから」
「そうですか、じゃあ先輩はどんなのがいいんですか?」
 そうだな……強くてカッコいいヒーローの名前……そうだ!!
「ナオガイガーVだ!!」
「なおがいがーぶい? ってなんですか?」
「カッコよさそーだろ? よし、ナオガイガーVで決定だ」
「僕は直樹マンのほうが……」
「なんか言ったか?」
「別に……」
 ふふふ、名前も決まったことだしこれで俺を呼び止めるモノは何も無い、いざ戦場へ!!
「は〜ははははっ、待っていろ俺’!!」
「先輩待ってください!」
 ……まだ何かあるの? 俺は今ノリノリで行こうと思ってたんだけど……。
「これを持っていってください」
 星川の手にはポップなデザインの光線銃らしきものが握られていた。
「この銃は?」
「この銃で生徒会長を撃てば元の生徒会長に戻るはずです。まだ実験をしていないので失敗するかもしれませんが……」
 一か八かの賭けってことか……。だがしかたない、今はこの銃に賭けるしかないか……。
「わかった、この銃で愛を撃てばいいんだな」
「絶対他の人には撃たないで下さいね」
「他の人に撃つとどうなるんだ?」
「さあ、実験してないのでわかりませんが、とにかく撃つのは生徒会長にだけにしてください」
「わかった」
 だが、他の人に使うなと言われると――やってはいけないと言われると、やりたくなるのが人間の性[サガ]ってもんだ。
 銃を受け取った俺は星川にその銃口を向け……るわけにはいかないよなぁ〜。でも試してみたいな……。
「先輩、今僕に『銃を撃ってみようかなぁ〜』なんて考えてませんよね?」
「ギクッ……まさかそんなこと思うわけないだろ!?」
「今、『ギクッ』って声に出してましたよ。くれぐれも生徒会長以外の人には撃たないでくださいね!」
 念を押されてしまってはしょーがない、今日のところはやめておこう。だがいつかはやってみたい。
 よし、今度こそ俺を引き止めるモノは無い! いざ、戦場へ!!
「は〜ははははっ、待っていろよ愛、今助けに行くからな!!」
 今の俺ってもしかしてカッコいいんじゃないのか? さすがは俺! もう誰も俺を止められないのだ!!
「先輩待ってください!」
「…………」
 止める者がここにいた。
「まだ、なんかあんの?」
「その銃の説明書要りますか?」
「……いちよー貰っとく」
 俺は取り説を星川からぶん盗るように受け取るとポケットに突っ込んだ。
 今度こそ、今度こそ俺を止めることはできない。俺は行くぞ戦場へ。
「は〜ははははっ、いざ戦場へ!!」
「先輩待ってください!」
「もういい加減にしろよ!」
「……がんばってくださいね」
「……ありがと、そんじゃ行って来るから」
 俺は星川の笑顔に見送られこの部屋をやっと後にできた。

 最初の戦いは部屋の外から始まっていた。
 研究所に微かに響く笑い声……俺のことを一瞬見ては顔を伏せる研究員たち……俺って笑われてるのか!? と問うまでもない、明らかにこいつらは俺を見て笑っている。俺は見せ物じゃない!!
 エレベーターに乗り込んでしまえば一安心。だがドアの向こうには新たな試練が!!
 ドアが開いたと同時に空気を口から噴出し顔を伏せる人々。
「ぷっ……何その格好!?」
「……直樹様お待ちしてました……ゴホッ」
「なかなかぉもしろいね……その格好……クク」
 美咲と宙はともかく、鏡花さんまでヒドイ、ショックだ、傷付いた。
「俺だってしたくてこんな格好してんじゃねぇよ」
「じゃあ脱いじゃえばいいじゃない?……あはは」
 美咲のヤローはついに腹を抱えて笑い出しやがった。それに引き換え宙はいつもの無表情を崩していない。
「直樹くん……カッコぃぃよ……クク」
 絶対嘘だ。嘘が見え見えだってーの!
「あははは、早く脱ぎなさいよそんなの、学ランの上から着るって直樹どーゆー神経してんの?」
「星川が無理やり着せたんだよ。しかも、エネルギーが切れるまで脱げないらしい」
「それは……可哀想に……クク」
 嘘だ。そんなことこれっぽちも思ってないくせに!
「……それは……どぅかな……クク」
 完全に俺は宙にからかわれている。
「それでは直樹様、お気をつけて行って来て下さい」
 深々と頭を続いて美咲と宙も、
「じゃあがんばって来てね」
「……せぃぜぃ……がんばって」
 ってお前たちは?
「お前たちは行かないの?」
「私たちは別行動なの」
「……そぅぃぅこと」
「別行動ってなんだよ?」
「……それは言ぇなぃ」
 聞いた俺が悪かった。そういうことにしとく。
 なんだか府に落ちないがしかたない、ひとりで行くとするか……。
「じゃあ行ってくるから」
 宙が俺のことを見つめて言葉を呟いた。
「……Go!Go!直樹マン」