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佐崎 三郎
佐崎 三郎
novelistID. 27916
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『オスカーのツバメ』

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パリのペール・ラシェーズは、ひっそりとそしてどっしりと大地の上に存在している。オスカー・ワイルドは現実に存在していた。お墓を見つめながら、あの物語を思い付いたことに私は感動し、共感する。どんな犯罪人か変人かは関係ない。人間として美しいものを生みだしたことに私は最大の賛辞を贈りたい。けれども、いま、泣けない自分に泣くに泣けず、寂しいのだ。それは不幸か。いやそれを知ったことは幸福なのか。それとも知らずに死んだほうが幸せなのか。オスカーはきっと知っている。不幸だからこそ知っている。知っているからこそ、ツバメには語らせずに幕を下ろした。オスカーのツバメ。これが私の理想なのかも知れない。

(了)