株式会社神宮司の小規模な事件簿
我らが若社長をめぐる悲劇
神宮司東一郎は社長である。
類稀無き端正な顔立ち猫っ毛の黒髪そして白い肌は会社のコマーシャルに俳優を起用する必要のないほど整っている。しかして彼はその様な面倒臭いことが大嫌いな男であったので決してそんなことはしなかったのである。
ともかくもその商才は確かであり彼が実の父親から社長の座を譲り受けてたった1年で単なる中小企業であったのを日本有数の大会社に成長させてしまった。 無論その商才と美貌に嫉妬心を抱いている人間、というか主に彼よりも明らかに年上の部下たち、が多数いたのも事実である。女子社員のほとんどが彼のファンであるということも起因していた。
そんなある日、神宮司グループ本社オフィスに大事件が発生したのである。
作品名:株式会社神宮司の小規模な事件簿 作家名:川口暁