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下仁田ネギとパスタの素敵な関係♪

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 女の名前は酒井清乃。あるイタリアンレストランで働く一人のシェフであった。
 彼女は自宅で、今年の高崎のナンバーワンパスタを決める『キングオブパスタ』に出展するパスタの案を頭を抱えて練っていた時、突然目の前が揺らいで意識を失った――と思ったら、気付いた時にはまるで時代劇の撮影所かと思えるような場所に立っていた。
 まさか時代を遡ったなんてやにわには信じられないから、ここはどこ? 私は誰? の状態に陥った。それでも周囲を取り巻く侍たちの真剣な眼差しを見れば、ここが撮影所ではなく、自分の錯覚等ではないことも一目瞭然。真剣に自分の事を説明したのだった。
 その甲斐あってか、『殿』と呼ばれる男が鷹揚な人間であったことも幸いして、何とか斬り捨てごめんの憂き目は逃れた。

「これ、そちは…清乃と申したか。清乃殿、こちらへ参られよ」
 殿が手招きするので、清乃は若干びくびくもので殿の隣に座った。
「ほれ、これを食してみよ」
 そう言うと、食べかけのネギのヌタを清乃の前に差し出した。
(えっ、この人の食べかけを?)
清乃は内心イヤだとは思ったが、それを口にしたらまた刀が……そう思って言葉をぐっと飲み込んだ。そして差し出された箸でちょっとだけ摘んで口に運んだ。
「いやぁ~! これ美味しいじゃん♪」
 意外なほど美味しい味に、つい本音で感嘆の声を上げてしまった。
「そうか、旨いか。うむ。そうか、そうか」
 殿は満足そうに頷き、言った。