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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【無幻真天楼 第二部・第一回・弐】しっぽの気持ち

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翌朝

「だからさっき起こしたとき起きればよかったんだっちゃっ!!」
「うるせー!!; 眠かったんだよッ!! 三大欲求に勝てる自信なんざ俺にはねぇんだよッ!!」
毎朝恒例の行事が繰り広げられている廊下
バタバタという足音に矜羯羅が目を開けた
【眠る】ということに最近やっと慣れてきた
体を起こそうと手をつく
が 手に力が入らない
頭が痛い
体が熱い
「…んがら?」
もぞもぞやっていると制多迦が声をかけてきた
「…頭痛い…」
矜羯羅が小さく言った

ピピッピピッ

電子音がすると母ハルミが矜羯羅の脇から体温計を抜き取って苦笑いをする
「熱あるわね…風邪だわコンちゃん」
母ハルミが体温計をケースにしまった
「風邪…」
「暖かくして寝てなさいね後から卵酒作ってくるから」
立ち上がった母ハルミの隣にいた制多迦が矜羯羅に近づく
「タカちゃん風邪移っちゃうからあんまり側にいちゃ駄目よ?」
頷いた制多迦を見ると母ハルミが部屋を出ていった
「…んがら…苦しい?」
「風邪とかいうの移るよ」
覗き込んできた制多迦の顔を矜羯羅が押す
「言ってただろ…側にいたら移るって」
「…うだけどでも…」
「…制多迦」
矜羯羅が制多迦にデコピンをすると制多迦がしぶしぶ立ち上がりチラチラと矜羯羅を見ながら部屋を出ていった
雨戸の開けられた窓から差し込む光
少しだけ見える空は青
矜羯羅がため息をついて布団に潜り込んだ