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ヴェリール
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novelistID. 39054
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「秘事は冬の真夜中」~天使の羽のヴァニス / 野原の書より

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そして、それから幾日かが過ぎ去りました。

あの大雪の日。

妖精たちが造った雪の像の多くは昼の陽射しに溶けたり崩れたりしました。

でも一つだけ、うまく陽射しを交わした場所に一つだけ、猫の像が残っていました。



月の光に照らされる樹氷の森で、その猫の雪像は次第に氷の像へと姿を変えてゆきました。

そして、いつの間にかそれは、嘗てこの森に暮らしていた生き物の魂か

それとも山を追われて死んでいった雪の妖精の魂か。

氷の像となった猫は心を持つようになります。

そして、夜毎、月に向かって詠(うた)うのでした。