「秘事は冬の真夜中」~天使の羽のヴァニス / 野原の書より
そんな驚くアイス・キュロスにヴァニスが右の掌を開き見せます。
そこには、柘榴の森で拾ってきた、柘榴の木の小枝が二本ありました。
ヴァニスは、首に飾った天使の羽のペンダントに左手を翳すと、短く呪文を唱えます。
すると、手に持った二本の小枝が魔法に、白と黒、二つで対の子猫の人形に姿を変えるのでした。
だから、今でもヴァニスの部屋には、その窓辺に仲良く
白と黒、二つで対の子猫の置き物が月を見上げるように並んでいます。
そうして、毎年、冬の真夜中に耳を澄ますと、小さな歌声が聞こえてくるのでした。
作品名:「秘事は冬の真夜中」~天使の羽のヴァニス / 野原の書より 作家名:ヴェリール