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ヴェリール
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novelistID. 39054
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「秘事は冬の真夜中」~天使の羽のヴァニス / 野原の書より

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時間が許す限り、残された時を惜しむように、ケリダは繰り返し繰り返し、この詩を歌い続けました。

そんな悲しく優しいケリダの歌声をディディカは黙って聞いていました。



そうして、最後の詩を歌い終えるケリダ。


「ディディカ、詩は、今ので最後。もう時間がないわ、もう直ぐ陽が昇ってしまう。早く私の前から居なくなって・・・」


そんなケリダの言葉に、ディディカは眠ったまま何も答えません。

いいえ、ディディカは、ケリダの詩を聞きながら、ケリダに出会えた事を喜びながら

ケリダが歌い始めて間もなく、命尽き果てていたのでした。


氷の瞳から涙を流し、溶けて行くケリダ。

彼女の命もまた、昇る朝日に尽き果ててゆくのでした。