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ヴェリール
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novelistID. 39054
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「秘事は冬の真夜中」~天使の羽のヴァニス / 野原の書より

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「だから、今夜でお別れ・・・」


戦によって止まっていたヴァニラ・フィールズの季節。

しかし、それはヴァニス達の手によって、本来あるべき形へと取り戻されつつありました。

少しずつですが、再び淀む事の無い時が流れ始めたのです。



やりきれない思いにも、ケリダの言葉通りにするしかないディディカ。


「そうか、ついに今夜でお別れなんだね・・・」


「そう、朝が来て陽が昇ったら、私は消えてしまう。醜く溶けて行く私の姿を、貴方には見せたくないの。だから、夜明けが来る前に、私の前から居なくなって。」


僅かの沈黙を引きずりながら、それでも、最後に力を振り絞ってディディカは言葉を繋ぎます。


「うん、わかった。そうだな、ケリダ。最後に、最後にあの詩を歌ってくれないか・・・」


そのディディカの言葉に、ケリダは遠く樹氷の森を横切る月に向かって静かに歌います。