「セックスアンドザシックスティーズ」 第二十話
「典子さん、元気出して!最後に大物釣るんでしょ?違ったの?」
「そうは言ったけど・・・この歳でこの身体でちょっと無理かもって思えてきた。美紗子さんは特別だったのよ。私みたいだったら、同窓会で盛り上がっても二次会でさようなら止まりだったかもしれない」
「あら!自信なさそうな言い方ね・・・本心は違うんじゃないの?」にこっと笑って恵子は典子を見た。
「恵子さん!本心よ。一番私が老けて見えるし輝いていなし・・・」
「そう思うことがいけないのよ。誰だって裸になれば同じよ。区別が付けられない。違うのは気持ちなんじゃないの?気持ちが前向きで若ければきっといい出会いがあると思うよ。
典子さんは前にも言ったけど美人顔しているから、自信持たなきゃ。一番ブスなのは私だし、太いし・・・でもそんなこと彼は全然気にしない。
男の人って私達が考えているより外見や太っていることを気にしていないよ。二十歳じゃないからねお互いに」
映子は典子を慰めるようにそう答えた。
「映子さんの言うとおりかも知れないね。外見や年齢にこだわりすぎると本当の自分を見失うかも知れないって・・・思った」
「典子さん、そうよ。そうなんだから、マイペースよ。焦らずにいい出会いを待ちましょう」
「ありがとう映子さん、そしてみんなも・・・さて、いよいよ核心の話を聞こうかな、ねえ美紗子さん?」
「核心って何?典子さん」
「美紗子さんね初体験だったのよ。その彼と60歳で」
「うっそう?それ本当の話?」恵子がみんなの顔を見ながらそう言った。
「本当なのよ、ねえ美紗子さん?だから聞きたいじゃない?」
「聞きたい!」同時にそう言葉が重なった。
作品名:「セックスアンドザシックスティーズ」 第二十話 作家名:てっしゅう